川端慎吾、畠山和洋をシーズン序盤から欠き、交流戦半ばにはバレンティンも故障。山田哲人の状態は開幕から上向かない。そのなかで気を吐いているのが雄平だ。
開幕から好調をキープ。5月7日のDeNA戦では4本の二塁打を放ち、1試合における二塁打数の日本タイ記録を達成。その後も調子を落とさず、打率.314、2本塁打、27打点とヤクルト唯一の3割打者として奮闘している。
野手転向後、初めてシーズンを通してプレーした2014年には打率.316、23本塁打も記録した。しかし、優勝を果たした2015年は成績が下降。打率.270、8本塁打と低迷した。昨シーズンは開幕から好調だったが、4月下旬に打率3割を割ると3割に復帰することはなく、打率.270前後を漂った。
今シーズンこそ3年ぶりの打率3割超えに期待したい。
野手陣にはもう1つ明るい話題がある。藤井亮太だ。昨シーズンまでの3年間での出場数はわずか32試合。通算10安打と結果を残せていなかったが、今シーズンは川端の代役として三塁に定着した。
すでにキャリアハイとなる24試合に出場し、打率.250(76打数19安打)、1本塁打、3打点をマーク。慣れない三塁守備ながら5月11日の広島戦ではまるで忍者のような動きのバント処理を見せ、併殺を奪った。
そのシーンを見ると、投手前に上がったバント失敗の小フライを猛然と飛び込みながらキャッチして、素早く一塁に送球。スピード感溢れる圧巻のプレーだった。
川端がケガをしていなければ、藤井に出番はなかったはずだ。このチャンスをものにし、成長したのはチームにとってもプラス要素だろう。
2016年のドラフト1位・寺島成輝は高卒ルーキーということもあり、今シーズンは鍛える時期。そこで、即戦力として最も期待が高かったのが2位指名の星知弥だった。
星は開幕1軍をつかむと中継ぎで登板。3試合連続でパーフェクトリリーフを見せ、一定のメドが立った。その後、2試合連続で救援に失敗するものの、4月23日の広島戦ではロングリリーフ。4回無失点に抑え、先発の座をつかんだ。
4月末から先発ローテーションに入った星は2勝をマーク。先発ローテーション入りを確保した。
また、小川泰弘の離脱もあり、2015年のドラフト1位・原樹理も先発ローテーションに入っている。若い2人がローテーションに入って経験を積めることは大きなプラスになるだろう。
長きに渡り、石川雅規と館山昌平に頼ってきた先発ローテーションの世代交代に期待したい。
(成績は6月13日現在)
文=勝田 聡(かつたさとし)