寺島は藤平尚真(楽天)、高橋昂也(広島)、堀瑞輝(日本ハム)ら同年代の投手とともに履正社高時代から注目され、2016年のドラフト1位でヤクルトに入団。150キロを超えるストレートと投球術に注目が集まったが、ルーキーイヤーの春季キャンプで故障してしまう。
以降は調整が続き、2軍で6試合(投球回19)の登板に終わったものの投球回と同じ19個の三振を奪い、防御率2.37を記録。シーズン最終盤に1軍初登板を果たした。1軍では結果を残せなかったが、シーズン終了後に行われた2017アジアウインターベースボールリーグのイースタン選抜メンバーに選ばれるなど期待は高い。
今キャンプでは1軍スタートを勝ち取るも紅白戦で炎上するなど、順調にアピールできたとはいいがたかった。ところが、3月3日の巨人とのオープン戦でチャンスを与えられると3回を無失点投球。5者連続三振を奪い、被安打、与四球ともに1と安定した投球を見せた。
この好投で開幕ローテーション争いに踏みとどまり、小川淳司監督も「これからが楽しみ」と前向きなコメントを残している。
ヤクルトの左腕事情を見ると石川雅規が長年エース格を務めており、昨シーズンは不調だったものの、今年はオープン戦から絶好調をキープ。まだまだ若い選手に負けないといった気概を見せているのは心強いが、すでに38歳。次世代左腕の出現が待望されている。
今オフ、山田大樹をトレードでソフトバンクから獲得し、新外国人投手・ハフを補強。そして、中日でプレーしていたアルメンゴ(昨シーズンの登録名はジョーダン)も加わった。左腕の頭数は揃っている。比較的、余裕のあるなかで寺島を大きく育てたい。
ヤクルトで高卒ドラ1左腕となると、村中恭兵、赤川克紀ら期待された投手はいたものの、期待ほどの結果を残したとはいい難い(村中は高校生ドラフト1巡目で入団)。期待に違わない実績を残したのは、石井一久まで遡る。ファンとしては寺島に村中、赤川超えはもちろん、石井一のように成長することを期待せずにはいられない。
前述したオーストラリア戦で快勝した侍ジャパンのメンバーに、ヤクルトの選手は残念ながら選出されなかった。だからこそ、寺島には2年後の東京オリンピックでメンバーに選ばれる選手に育ってほしい。そのためにも、プロ2年目の今季が鍵となる。
文=勝田聡(かつた・さとし)