2018年シーズンは30試合強を消化。それぞれ好不調の波はあるが、現時点での各チームにおける「不安=穴」と「希望=光」が見えつつある。パ・リーグ後編の今回はオリックス、日本ハム、ロッテを取り上げる。
(※成績は5月14日現在)
4年ぶりのAクラス、さらに22年ぶりのリーグ優勝を目指すオリックスにとって、最大の「穴」は、金子千尋だろう。開幕から先発ローテーションを守ってはいるもの、ここまで6試合に登板して0勝4敗。まさかの勝ち星なしだ。6回1失点と好投しながら打線の援護に恵まれなかった5月10日の日本ハム戦のようなピッチングもあったが、他は3〜4失点を喫しており、チームが波に乗れない要因のひとつとなっている。
一方の「光」には、2016年ドラフト組の山本由伸(4位、都城高)、澤田圭佑(8位、立教大)の2投手を挙げたい。
山本は、ルーキーイヤーの昨季は先発として5試合に登板して1勝1敗、防御率5.32。高卒1年目としては、1軍で勝ち星を上げただけでも上々と言っていい。今季はセットアッパーとして9試合に登板し、無失点の快投を見せている。
澤田は、大阪桐蔭高時代は同学年のエース・藤浪晋太郎(現阪神)を支える存在として、甲子園春夏連覇を経験している。そこから立教大を経てオリックス入り。昨季はセットアッパーとして13試合に登板し0勝2敗。防御率も4.15と目立つ成績ではなかったが、今季はストレートの威力が増したことで、変化球も生きてくるようになった。ここまで13試合に登板して、山本と同様に失点0と好投を続けている。
山本は177センチ80キロと細身。澤田は178センチ96キロとガッチリ体型。対照的なフォルムだが、両投手ともマウンドでは度胸満点。オリックスのブルペンを盛り上げている。
日本ハムでは、移籍2年目となる大田泰示が開幕から昨季以上のパフォーマンスを見せ、チームの「光」となっている。
これまでに34試合で10本塁打。昨季の15本塁打を大幅に上回るペースでアーチを量産している。このペースで量産し続けるとシーズン40本塁打に届きそうな勢いだ。現時点で中田翔を1本上回り、チームトップに立っている。
巨人時代に、その身体能力や野球センスを評価されながらもくすぶっていた大田の姿は、今はもうどこにもない。チームでは、黄金ルーキーの清宮幸太郎が注目を浴びるなか、10年前のドラ1が着々と存在感を増している。
54勝89敗2分と、チームワーストの数字でダントツの最下位となった昨季のロッテ。もう、今季は上がるだけといった状況ではある。
そんな中「光」を放っているのが4年目の中村奨吾だ。昨季の後半は三塁、遊撃のポジションでスタメン起用され、井口資仁監督体制となった今季は、開幕から「3番・二塁」で固定。それを意気に感じているのか、打撃で好調が続く。過去3年で.275が最高だったシーズン打率は、リーグ3位の打率.321と爆上げしている。
また、盗塁数も西川遥輝(日本ハム)の15盗塁に次ぐ、リーグ2位の13盗塁をマーク。積極的に足を使うというチーム方針を誰よりも実践している。
さらに、守備でもレベルアップの跡が見られる。昨季は85試合の出場で12失策だったのが、今季は34試合でわずか1失策。昨季までソフトバンクで鉄壁の守備を作り上げていた鳥越裕介ヘッドコーチ(ソフトバンク時代はヘッドコーチ兼内野守備走塁コーチ)の指導も効いているのだろう。
また、開幕から4番に起用されている井上晴哉も奮闘している。ルーキーイヤーの2014年は、ドラフト5位ながらいきなり開幕戦で4番に抜擢。しかし、そこからなかなか結果が出せなかった井上だったが、今季はチームトップ、リーグ4位の27打点。得点圏打率は.390と勝負強い打撃が光る。
ロッテは、5月に入って借金生活に突入し4位となっているが、盗塁数42は12球団トップタイで、チーム打率.248はリーグ3位。ディフェンス面を強化できれば、浮上の目はありそうだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)