オープン戦とペナントレースではもちろん戦い方も異なるが、オープン戦が好調であれば、ある程度の期待感を持つことはできるだろう。
昨季のオープン戦の覇者は阪神。“金本新政権”で開幕へ向けたイケイケムードを作っていった。シーズンの結果は4位だったが、船出はバッチリだったともいえる。
逆に昨季、残念だったのはオリックスと中日。4勝9敗3分で同率最下位に終わった。ともにシーズンもリーグ最下位に沈んでおり、結果論からいえば不安が露呈したオープン戦だった。
続いて、昨季のオープン戦で大当たりした選手を振り返ってみたい。オープン戦では若手が重用される傾向にあり、期待のホープの活躍はシーズン開幕に向けての勢いが増す重要なキーポイントだ。
昨季大当たりを見せたのは、横田慎太郎(阪神)。打率.393をマークし、開幕スタメンをつかんだが、シーズンでは打率.190と低迷。オープン戦での好調を継続することができなかった。
山川穂高(西武)も打率.313に加え、4本塁打をかっ飛ばし、開幕スタメンに名を連ねたが、こちらもシーズンが開幕するとガチガチに緊張して本領が発揮できず。夏場まで2軍での調整を余儀なくされた。
開幕スタメンをつかむためにはオープン戦での活躍が必要だが、思いのほか、早期のブレイクには結びつかないケースも多い。
しかし、阪神では当時ルーキーの高山俊がオープン戦打率.327の好成績を挙げ、シーズンでも新人王を獲得する見事な活躍を見せた。
高山の例もあるので、「オープン戦好調でも開幕したら(ダメだろう)……」とネガティブになるのではなく、「新人王間違いなしや!」とポジティブになった方が楽しめそうだ。
昨季はオープン戦で活躍した先発投手陣がそのままシーズンでも好調を示した。
規定投球回以上では和田毅(ソフトバンク)、福井優也(広島)、菊池雄星(西武)、田口麗斗(巨人)、有原航平(日本ハム)が防御率0点台を記録し、福井はケガの影響で不調に陥ったものの、残る4人はシーズンでも2ケタ勝利をマーク。エースクラスの活躍を見せた。
投手にとって春先の好調は吉兆。素直に期待しても大丈夫だろう。
文=落合初春(おちあい・もとはる)