まず最初に紹介したいのは、同点のベースを踏み、逆転のタイムリースリーベースを放った金子侑司。正遊撃手として期待されながら、レギュラーポジションよりも先に女子アナのハートをつかんだことから、筆者的に野球への熱があまり伝わってこない選手だった。
しかしこの日の金子侑は、2回裏の1死一、三塁のチャンスをダブルプレーでフイにしたときに、とても悔しそうな表情を浮かべた。「これを機に、変わっていってくれたら」と思ったのもつかの間、いきなりその試合で爆発。
大谷相手に得点につながる2本のヒットを放ち、盗塁も成功させた。打率自体はまだ2割6分弱だが、過去の年に比べると上昇してきている。大谷から打ったことをぜひ自信にして、今後につなげてほしいと切に願う。
中村剛也を長男として、浅村栄斗、森友哉で形成される西武の「大阪桐蔭三兄弟」。しかし、大阪桐蔭戦士はもう1人いる。それが第2捕手の岡田雅利だ。
正捕手・炭谷銀仁朗がいるため、なかなかスタメンマスクの機会がないが、この日は攻守で存在感をアピール。打撃では大谷から逆転のタイムリーを放ち、守備では3試合で23点取られていた投手陣をしっかりとリードし、2失点に留めた。
今年の炭谷は例年よりも打撃が好調なので、岡田も攻守両面をアピールしなければ使ってもらえない。そんな中で大谷からタイムリーを放ったことは、これ以上ないアピールとなった。ラッキーボーイの勢いに、ぜひともチームも乗っていってほしいものだ。
低調なチームとリンクするように、絶不調をこじらせていた浅村栄斗。打率1割台の頃は、ホームランを打っても「大振りになってるだけだから……」とファンから冷ややかに見られていた。
しかし! マルチヒットも出るようになり、日本ハム戦でも大谷相手に13試合連続となる右方向のヒットに四球を選ぶなど、外堀を埋めるようにKOをアシスト。その結果、打率も.252まで回復。
金子侑、岡田、浅村。よくよく考えると、彼らはセンターラインを守る選手でもある。ショート、キャッチャー、セカンド。野球はセンターラインが重要と言われるが、なるほど、上手いことできていると思わされる。
メヒアや中村といった大砲がいても、屋台骨となるのはダイヤモンドの中央。難敵・大谷を打ったことで、今回紹介した「三銃士」が自信を持ち、不動のセンター・秋山翔吾を加えた「西武センターライン四天王」になっていくことを期待したい。
文=森田真悟(もりた・しんご)