ときは戦国…、もといシーズンオフ。まさにこの時期、プロ野球選手にとっては大事な契約更改の真っ最中だ。
昇給、減俸、悲喜こもごも。選手たちは自身の希望額を勝ち取るために、さまざまな戦略を駆使する。
今回、近年のプロ野球界で秀逸な戦術・名言をまとめてみた(年俸は推定)。
「実は来年の5月に2人目の子どもが生まれるんです。何とかミルク代として…」
2004年オフ、2度の契約更改を終え、報道陣に泣きを入れたのは関本賢太郎(阪神)。この年、110試合に出場し、打率.316をマーク。ブレイクを果たした関本は1600万円増の3000万円の提示を受けたが、希望額は3500万円。
上がらぬ提示に情に訴えてみたが、結果は変わらず。ちなみにミルク代は1カ月で約1万円弱が相場。12万円前後のアップはあったかも知れない。
「もらった祝儀袋の中身が図書券だった感じ」
2005年、全試合で4番を打ち、打率.272/19本塁打/8打点を記録しながらも、1億3000万円の現状維持提示を受けた佐伯貴弘(横浜)が放った一言。
少年時代に誰しもが経験する「ちょっとガッカリ」な出来事を引き合いに出して同情を求めたが、ファンの反応は「本でも読んでろ!」「図書券をバカにするな!」とイマイチ。増額を勝ち取ることはできなかった。
ちなみに契約更改が行われた2カ月前の10月に図書券は図書カードに切り替わっている。
「あくびをされたのがすごく情けなくて…」
2度目の登場は2006年の関本賢太郎。この年、規定打席不足ながら132試合で打率.302、キャリアハイの9本塁打を放ち、1000万円増の4000万円提示を受けた関本。
しかし、目を真っ赤に腫らして会見場に現れた関本は、球団幹部が交渉中にあくびをしたことを激白。正直、「生理現象だから仕方ないんじゃ…?」と思ったファンも多かったはずだが、結果としてさらに1000万円の上積みをゲットした。
関本の代理人はその後、冗談半分で「彼の話は確かに退屈で眠たい」と語っていたとか…。
提示が満足いかない選手は小噺でもはじめて、あくびを誘うのもひとつの手!?
「紙を見せられたけど、内容はよくわからなかった」
球界一の天然キャラ・糸井嘉男(当時日本ハム)の2009年オフのコメント。この年、131試合に出場し、打率.306/15本塁打/58打点、リーグ最多の40二塁打で本格ブレイクを果たした。
1800万円から6000万円の大幅増を提示されたが、球団が作成した評価の資料も意味がわからず一発サイン。
今季は3億5000万円+出来高でプレーした糸井だが、契約更改ではなぜかマトモな提示が多い。
もしかすると、「低額提示をしたら、そのままわけもわからずサインされてしまって詐欺よばわりされるんじゃないか…」と球団も気をつかって最初からマックス提示なのかも…!?
「これから食事は松屋か吉野家にする」
契約更改後、大幅減俸になった選手が漏らす弱音。近年、迷言を残したのは細山田武史(当時DeNA)だ。
1軍出場なしに終わった2012年オフ。減額制限を超える1700万円から600万円への大幅減を提示され、語ったのがこのセリフ。
全額ぶっこめば、2万杯ぐらい食べられる気もするが、すき家を忘れているのもポイントが高い。また「エイプリールフールかと…」と顔を覆いながら、何とか気の利いたコメントを言おうとしていた点も「らしさ」が出ている。
また同種のコメントでは、2004年オフの福留孝介(当時中日)も秀逸。