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捕手として115試合以上出場が分かれ道? 巨人の命運を握る阿部慎之助の起用法


 ここ数年、守備位置で揺れていた巨人の阿部慎之助が、今季は捕手としてプレーすることを決断した。

 昨年のシーズン前、当時の原辰徳監督は阿部の一塁への完全コンバートを決断しながら、あてにしていた相川亮二が開幕早々に故障すると、即座に捕手へ。その後は阿部自身の故障もあって、一塁手中心の出場が続いた。


捕手として出場時のほうが好成績?


 常にしゃがんだ体勢でプレーし、リードも含めチーム全体に神経をとがらせる必要がある捕手というポジションは、野手の中ではもっとも重労働と言われる。前年に首を痛めたこともあり、守備の負担を軽減し、打撃のウェートを高めるための配置転換だった。

 ところが、その打撃面を見てみると、昨年度の阿部は、捕手として先発出場した23試合では打率.309、一塁手として先発出場した77試合では.227。バットは、本職の捕手のときのほうが冴えていたのだ。


リーグ最低のチーム打率改善なるか


 昨季は2位に終わり、リーグ4連覇を逃した巨人。その要因のひとつは6球団最低のチーム打率だ。これを改善することが、今季の重要課題でもある。

 阿部が、やり慣れた捕手として出場し、リズムよく打席にも立てるようなら、これは貧打を解消する原動力となる。

 一方で、昨季、リーグトップだった防御率を誇る投手陣に、捕手・阿部がマイナスの影響を及ぼす可能性はほぼない。それは、キャンプからすでにブルペンに入っている阿部に対し、主力投手陣を中心に、捕手復帰を歓迎するコメントが多く聞かれることからもわかる。

 精神的支柱ともいえる阿部が、打線では中軸に、守備では扇の要にどっしり座るようだと、大きなスランプでもない限り、攻守に渡ってチーム力は安定するだろう。


出場数からみる捕手・阿部の重要性


 こんなデータもある。阿部が入団した2001年以降、スタメン捕手として115試合以上に出場したかどうかで、その年の順位が大きく変わってくるのだ。

 以下は阿部が捕手として115試合以上に先発出場した場合と、先発出場数が114試合以下だった巨人のシーズン成績だ(カッコ内は阿部の捕手での先発出場試合数)。

●115試合以上出場
2001年:2位(125試合)
2002年:1位(126試合)
2006年:4位(128試合)
2007年:1位(139試合)
2008年:1位(122試合)
2010年:3位(137試合)
2012年:1位(116試合)
2013年:1位(119試合)

*巨人の優勝率62.5%


●114試合以下出場
2003年:3位(93試合)
2004年:3位(108試合)
2005年:5位(98試合)
2009年:1位(107試合)
2011年:3位(112試合)
2014年:1位(104試合)
2015年:2位(23試合)

*巨人の優勝率28.6%


 もちろん、団体競技だけに、阿部にすべての責任があるわけではない。ただ、115試合を境に優勝の割合は2倍以上となり、その存在感が非常に大きいことは見て取れる。

 この3月で37歳となる年齢的にも、捕手として115試合以上の出場は決して低いハードルではないが、阿部がそれを実現するようなら、巨人がペナントレースのゴールを先頭で駆け抜ける可能性が高くなるだろう。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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