個性派集団だった近鉄。オリックスの選手でユニフォームがしっくりきていたのは、やはり個性的な選手。小谷野栄一やモレルの髭面には近鉄ユニフォームがよく似合っていた。近鉄のユニフォームを着た彼らからは、いかにも「猛牛」という風格が漂う。ちなみに小谷野は、大阪近鉄時代のユニフォームも着こなしていた。
投手では、今季初先発した岸田護も近鉄ユニフォームが違和感なくフィット。また、ルーキーの山岡泰輔は童顔という顔つきもあってか、往年の阿波野秀幸を連想させた。
阪急のユニフォームは、近鉄と比べると、シュッとした印象がある。ズボンのサイドにラインが入っているので、背の高い選手は足が長く見えるのだ。オリックスの投手陣では、吉田一将や山崎福也がまさにシュッとしていた。
ソックスを見せるオールドスタイルで阪急のユニフォームを着こなす選手は何人かいたが、なかでも似合っていたのが駿太だ。その姿は、阪急のレジェンド「世界の盗塁王」福本豊がダブる。サヨナラ安打の瞬間は絵になるシーンだった。
ソフトバンクの選手が着用した1980年モデルの南海ユニフォーム。このユニフォームが一番似合っていたのはデスパイネだ。身長175センチ体重95キロのぽっちゃり体型は、ドカベンこと香川伸行を思い出させた。
近鉄ユニフォームでマウンドに上がった澤田圭佑(オリックス)は、その丸々とした体型から、「ピッカリ投法」でおなじみの佐野慈紀とソックリに見えた。また、阪急のユニフォームを着たときは、投手、野手の違いを超えて、代打本塁打世界記録保持者の「ブーちゃん」こと高井保弘に見えた。
ぽっちゃり体型は、昔も今も印象に残りやすいのかもしれない。
「KANSAI CLASSIC」では、試合前にOBのトークショーが行われた。そこにはやはり、その時代を懐かしむ年齢層の高い野球ファンが集まった。
そのなかに混じって、阪急の帽子をかぶった少年がいた。その姿は、他の誰よりも似合っており、輝いて見えた。
昭和の野球を懐かしむだけでなく、若い世代にも、復刻イベントを通じて球史の魅力を感じてもらうことも大事なのではないだろうか。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。