パ・リーグのクライマックスシリーズは、レギュラーシーズン後半の勢いそのままに、日本ハムが勝ち上がり。MVPには、5試合で2本塁打を含む18打数6安打5打点と、4番の責任をしっかり果たした中田翔が選ばれた。
そして、ソフトバンク、ロッテは惜しくも日本シリーズへの夢は断たれてしまったが、目を惹くパフォーマンスを見せた選手がいた。ここではCSで奮闘した選手を両チームからひとりずつ「敢闘賞」に選んでみたい。
ロッテのレギュラーシーズンの成績は72勝68敗3分。勝ち越しただけでなく、4位の西武に8ゲーム差をつけ、堂々の3位だった。ただ、上位2チームには10ゲーム以上離されており、その差か出たのか、CSはファーストステージでソフトバンクに2連敗。下克上は叶わなかった。
ファーストステージが2戦で終わったため活躍の場は少なかったが、「敢闘賞」には清田育宏を挙げたい。なんといっても強烈なインパクトを残したのが、ポストシーズン史上初となる2試合連続の先頭打者本塁打だ。
第1戦では、千賀滉大の2球目のスライダーをとらえてレフトのホームランテラスへ。翌日の第2戦では、バンデンハークの投じた初球のストレートを、前日より10メートルほどセンター寄りの左中間テラスに運んだ。
両試合とも、最終的にはロッテが逆転負けしてしまったが、いずれも終盤までもつれる緊迫した好ゲームだった。それも、清田の2ホーマーがあったからこそだろう。
一方、ファーストステージでロッテと2試合、ファイナルステージでは日本ハムと5試合を戦ったソフトバンク。
野手では、大事な場面でタイムリーを連発した今宮健太、3本塁打を放った松田宣浩、投手では2勝を挙げたバンデンハーク、4セーブのサファテらがきっちり仕事をしたが、ここは、セットアッパーとしてフル回転した岩嵜翔を「敢闘賞」としたい。
今CSでは、トータルで4試合に登板した岩嵜。5回1/3で打者18人に対し、なんと許したランナーは四球とエラーの2人だけ。1本のヒットも打たせない完璧な投球を披露した。もちろんシリーズ防御率は0.00。
ファイナルステージの第2戦では、2点ビハインドの7回裏2死満塁という1点もやれない場面でマウンドに上り、中田翔をライトフライに打ち取る。続く8回も3者凡退に抑える快投で9回の逆転劇を呼び込み、自身も勝利投手となった。
シーズン2位のソフトバンク、3位のロッテともに、当然ながら来季はさらに上の順位を狙う。リベンジは必至だ。そんなチームのムードのなか、CSでの「敢闘賞」に挙げた清田や岩嵜は、きっといいイメージでオフに入れているはず。2017年、彼らの熱いプレーに期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)