『高校野球大特集』という特集中において、「野球芸人」に登場していただいたのは高校野球好きとして有名であり、球場にも足繁く通うアンジャッシュ・渡部建さんです! これまではトータルテンボス・藤田憲右さん、ナイツ・塙宣之さんと登場していただき第3弾を迎えます。
無類の高校野球好きの渡部さん。球場に通うだけじゃなく、最近は中学野球の大会にも観戦したり、プロダクション人力舎presents「高校野球大好きナイト」を開催したりと、さらに野球熱は加速していきます。
そんな渡部さんに全5週に渡って、ここまで惹きこまれた高校野球の魅力について語っていただきました。それでは第2回のスタートです。
野球はもっぱら観る専門、アンジャッシュの渡部建です。
そんな僕も、少年時代は地元の「八王子リトル」で野球をしていました。ただ、当時の八王子リトルはものすごく強くてレベルが高かったんですよ。最終的にそのチームから甲子園に3人、プロに2人行きましたからね。そんな環境だから、僕はずっと一軍の補欠。練習試合の守備固めでようやく出られるレベルで、出ても打球が強くて手が痺れちゃって、もう野球が全然楽しくなかったんですよ。
そしてある時、遂に二軍行きを言い渡される訳なんですが、そんな僕でも二軍だとクリーンアップでキャプテンなわけです。もう試合が楽しくって楽しくって。だから、八王子シニアには進まずに、中学では部活の軟式野球を選びました。もっとレベルの低いところで、もっと威張りながらやりたいなって(笑)。
リトル出身だから部活の野球くらいチョロイだろう、と思って野球部に入ったら、みんなメッチャクチャ上手いんですよ。しかも、僕は内野だったんですが、リトルリーグのボールと軟球とじゃ、バウンドの仕方が全然違う! 中学で軟式野球をやっていた人間が高校の部活で硬球につまずく、っていうのが定番ですけど、僕はその逆。全く軟球に対応できなくて、3年になってなんとかレギュラーになれたくらいです。
そんなレベルだったので、高校では野球部にも入らず、草野球もせず。プロ野球もあの頃は全く見てなかったなぁ。中学時代までの反動で、本当に野球とは無縁の3年間でした。アルバイトをして、バイトで貯めたお金でバイクを買って、という感じで。
でも、だからこそ今、こんなにも高校野球にハマっているんですよ。僕の周りはみんなそうなんですけど、高校野球を3年間全うした人って、実はそんなに甲子園を見ないんですよね。途中で部活辞めた奴とか、僕みたいに中学で辞めたっていうドロップアウト組の方が、高校野球への憧れが強いせいで、どっぷりハマるんです。普通の人よりも、グラウンドがより煌びやかに見えるんでしょうね
。
高校野球観戦にハマったキッカケは2009年の夏。たまたま母校(都立日野高校)野球部躍進の記事を見かけたんですよ。当時は「へぇ、予選は神宮第二でやってるんだぁ」くらいの認識だったんですが、観に行ってみたらとにかく打ちまくる野球でビックリして、しかも楽しそうにプレーしてベスト4に入る。正直、「嘘だろ!?」って思いましたね。
その準決勝で当たったのが日大三高。そして、あの日大三高に7回表までリードしてたんですよ! 結局は逆転負け(6-7)をした訳ですが、日大三高は決勝戦を圧勝して甲子園に行きましたからね。「もしかしてあそこで勝っていたら……」というのと、その時のレギュラー7人が2年生だったんですよ。「これもしかして、甲子園行けるんじゃないの? これは秋も見なくちゃ!」と追いかけたら、その秋に、例の逆転サヨナラ満塁ホームランに出合うわけですよ。もう、あんなん見ちゃったら……そして、そのホームランを打った菊地理浩くんが、八王子シニア出身だったんです。だから、そういう巡り合わせですよね。
あの代の日野高校野球部は、シニアでの公式戦出場無し、というメンバーばかりの雑草軍団。セレクションにも落ちて、じゃあ日野でやるかと集まったわけですから。その辺のサイドストーリーも全部痛快なんですよね。「シニアで試合にも出てなかった奴らがへっぽこ都立に入ってエリート軍団をやっつける!」っていう。すごくいいものを目撃したんですよ。
しかも、「コツコツ1点を取る」なんてタイプでもなく、「とにかく振る! 私学には打ち勝つ!」っていう痛快な野球。その「野球観」にも魅せられましたね。わかりやすいじゃないですか。観戦の入り口でそんな日野高野球部に出合えたのは、運が良かったかもしれないですね。