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ソフトバンクはMLBのシカゴ・カブスを戦力外となった和田毅投手の入団を発表。複数年契約を提示し、年俸は3億円（推定）と報じられている。
近年、アメリカでプレーした選手の日本球界復帰は毎年の恒例行事となってきた。出ていく選手よりも戻ってくる選手のほうが多いのは、嬉しいような悲しいような複雑な心境だ。ただ、日本球界復帰を喜ぶにしても、根拠のない高額オファーが多くはないだろうか。「アメリカ帰り」というブランドに対して、日本球界は必要以上に惑わされている印象を受ける。
そこで、2015年シーズンに「NPB復帰」した選手たちが合格ラインに達していたのかどうか、事前期待値と実際結果の「答え合わせ」をしてみたい。彼らは年俸に見合った働きをしたのだろうか？
※ここで扱う「合格ライン」は、今年2月に発売した『野球太郎 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2015』で記載したものです。
（8年ぶりにNPB復帰／広島／40歳）
今春のプロ野球の話題を独占した、といっても過言ではない黒田博樹のNPB復帰。20億円を蹴っての年俸4億円は「男気契約」としてもてはやされた。そんな黒木に対して野球太郎が設定した合格ラインと実際の成績は……。
合格ライン
25試合登板
13勝以上
175イニング以上
防御率3.00以下
↓
最終の数字
26試合登板
11勝（8敗）
169イニング2/3
防御率2.55
登板数と防御率はクリア。勝利数とイニング数はわずかに及ばなかったが、ほぼ「合格点」と言っていいはずだ。特に、メジャー時代はいつも3点台だった防御率で、40歳のシーズンに2.55という数字は残したことは、さすがのひと言に尽きる。
ひとつだけ残念な点があるとすれば、チームをCS進出に導けなかったこと。もちろん、黒田一人の力でチーム力が大幅アップするわけではないし、黒田がいたからこそ最終戦までもつれ込むことができた、と見ることも可能だ。だがそれでも、黒田から若手投手たちが多くを学び、投手王国復活を期待したファンが多かったのも事実。この点は来季以降の広島投手陣の奮起を期待したい。
現在、引退か現役続行かがまだ不透明な黒田。今季の活躍を見る限り、まだまだ通用する力はあるだけに1日でも長くその勇姿を広島ファンに、そして若手投手陣に示し続けて欲しい。
（9年ぶりにNPB復帰/ソフトバンク/35歳）
歴代MLB復帰選手のなかでも、ある意味で「最悪」の結果になってしまったのがソフトバンクの松坂大輔だ。野球太郎が設定した合格ラインは……。
25試合登板
10勝以上
150イニング以上
防御率3.50以下
現実の松坂といえば、キャンプでのインフルエンザ発症がケチのつきはじめ。以降、右肩の不調に苦しみ、8月には手術を断行。結果として1軍登板はゼロとなり、何ひとつとしてクリアできなかったのはご存じの通りだ。
もちろん、ケガは防ぎようがない側面もある。だが、3年総額12億円という超大型契約でソフトバンク入りした松坂に対する世間の目は冷たい。そして、その松坂抜きでもパ・リーグを圧勝してしまったソフトバンクだけに、今後ますます「松坂不要論」の風は強くなるはずだ。
現在、アメリカでリハビリ中とされるが、しっかりケガを治し、かつての栄光を取り戻す日が来ることを期待してやまない。
黒田と松坂以外でも、今季途中に日本球界に復帰を果たした選手に藤川球児がいる。藤川はNPB復帰ではなく、独立リーグ（四国アイランドリーグplus）と無償契約を交わし、従来の救援専門ではなく先発投手として戻ってくるという、新たな道筋を示した。来季はNPB復帰もささやかれているだけに、この復帰経路が正しかったのかどうかが試されることになる。
今回ソフトバンクと契約した和田、そして松坂と藤川に共通するのは、アメリカ時代にトミー・ジョン手術を受けたこと。その後、MLBで明確な「復活」を果たすことなく、NPBで輝くことができるのか？ そしてそんな選手たちと高額契約を交わすことは果たして正しいのか？ 来季以降、ますますシビアな目で彼らの動向をチェックしていく必要があるはずだ。
文＝オグマナオト（おぐま・なおと）
