5月15日、ほっともっとフィールド神戸にてオリックス・バファローズと女子プロ野球のスペシャルコラボイベントが開催された。デイゲームでのオリックス対ソフトバンク戦終了後に、女子プロ野球の兵庫ディオーネ対京都フローラの試合を行うという企画。プロ野球を見た観客に、そのまま女子プロ野球を見てもらおうというアイデアだ。
その日は、プロ野球終了後もかなりのファンが残っており、7000人以上の観衆が女子プロ野球の試合を楽しんだ。その多くが女子プロ野球を観戦するのは初めてだったと思われる。女子がやる野球ということで、興味津々だったようだ。
この試合の注目は、兵庫の絶対的エース・里彩実と、京都の女子球界レジェンド・小西美加が、先発としてマウンドに上がる注目の対決。
里は2014年のIBAF女子ワールドカップのMVPに輝いた右投手。この試合まで4試合連続完投勝利、キャプテンとしてチームを首位に導いていた。
一方、小西美加はIBAF女子ワールドカップに3度出場。女子プロ野球結成当時からの選手で、投手だけで無く、野手として打撃のレベルの高い、まさに女子野球のレジェンドと言われる選手である。
試合は両者譲らず、2対2の同点で7回を終了(女子プロ野球は7回制、延長は9回まで)延長8回の裏、兵庫の攻撃。無死満塁から寺部歩美のライトへの犠飛で、兵庫がサヨナラ勝ち。女子プロ野球の手に汗握る熱戦を見ることができて、プロ野球ファンも満足したのではないだろうか。
女子プロ野球を初めて観戦すると、想像したよりもスピードもパワーもあると感じるだろう。選手を近くで見ると、意外にガッシリしている。いい意味で自分の想像を裏切られる。
また、ひとつのプレーに対する、ひたむきさを感じられる。彼女らの全力プレーは、忘れていた野球への情熱を思い出させるようだ。
試合後、選手代表として里がマイクを握った。そこでは「野球は男子のスポーツでも、女子のスポーツでもなく、みんなのスポーツです」と挨拶した。
女子が野球をプレー環境は、なかなか少ない。しかし今後、女子プロ野球がより一層発展し、女子が当たり前に野球をやる。それが夢の舞台に立った、彼女たちの本当の夢なのだろう。女子野球の発展のためには、我々はその試合を観戦し、応援することだ。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。