■4月29日:ソフトバンク(対オリックス)
1(二塁):川崎宗則
2(遊撃):今宮健太
3(右翼):明石健志
4(一塁):内川聖一
5(DH):デスパイネ
6(左翼):中村晃
7(三塁):松田宣浩
8(中堅):上林誠知
9(捕手):甲斐拓也
投手:攝津正
厚い選手層を有するソフトバンク。どんなオーダーを組んでもそれなりにきれいな形になってしまうのだが、ここ数年、アクセントになっているのは明石健志だ。プロ野球史上でも珍しい「1番・一塁」が板についてきているが、今年は死球で欠場した柳田悠岐の穴を埋め、2試合で3番を務めた。これで4番以外の打順はすべて経験したことになる。ここまできたら、いつの日か「4番・明石」も見てみたい!
■9月10日:西武(対日本ハム)
1(右翼):金子侑司
2(DH):森友哉
3(中堅):秋山翔吾
4(一塁):山川穂高
5(二塁):浅村栄斗
6(左翼):栗山巧
7(三塁):中村剛也
8(捕手):炭谷銀次朗
9(遊撃):源田壮亮
投手:ウルフ
今季はペゲーロ(楽天)、マギー(巨人)ら「攻撃的2番打者」がブームになったが、打線が奮起して巻き返しに成功した西武でも数試合で「攻撃的2番打者」が採用された。そのキーマンは2番・森友哉。チームには金子侑司、秋山翔吾、源田壮亮、外崎修汰など、俊足巧打の1、2番タイプが揃っているが、あえて、2番に森友哉を据えたフォーメーション。しかも、中村剛也が7番というのもなかなか重厚だ。
さらにはメヒアも控えている。今季は不調とはいえ、打率.241(345打数83安打)、19本塁打。推定年俸5億円に目をつぶれば、破壊力は十分だ。森を捕手起用し、指名打者にメヒアが入ればトンでもなく重厚な打線ができあがるのではないだろうか。ただし、守備型捕手の代表格であった炭谷銀次朗も今季は打率.251とキャリアハイの成績を残しており、この試合では本塁打をかっ飛ばしている。
現時点では珍オーダーではあるが、名オーダーに昇格する香りがプンプンと漂う。
■7月28日:楽天(対オリックス)
1(中堅):島内宏明
2(DH):アマダー
3(三塁):ウィーラー
4(二塁):銀次
5(遊撃):クルーズ
6(一塁):中川大志
7(左翼):松井稼頭央
8(右翼):聖澤諒
9(捕手):嶋基宏
投手:塩見貴洋
前半戦は「2番・ペゲーロ」が大当たりし、球界に「攻撃的2番打者」の流れを巻き起こした楽天。7月にはペゲーロをはじめ、故障者が続出し、厳しい状況になったのは周知の通りだが、その苦しみのなかで珍オーダーが飛び出している。
ペゲーロでもかなりのインパクトだが、この日、2番に起用されたのはアマダー。公称135キロのNPB歴代最重量助っ人を2番に据え、「攻撃的2番打者」の原点回帰を狙ったが、惜しくも敗戦。梨田昌孝監督もガッカリで、奇策「2番・アマダー」はお蔵入りになった。また、銀次はプロ初の4番起用だった。
■8月5日:オリックス(対日本ハム)
1(左翼):T-岡田
2(右翼):吉田正尚
3(一塁):マレーロ
4(中堅):ロメロ
5(三塁):小谷野栄一
6(DH):中島宏之
7(捕手):伊藤光
8(遊撃):安達了一
9(二塁):大城滉二
投手:山岡泰輔
5月に大きく負け越し、影が薄くなったオリックスだが、夏からは密かに実験を繰り返していた。珍オーダー率では今季断トツのナンバーワンだろう。その極みが8月の9試合で採用された、この1番から4番の並びだ。昨季は開幕戦でルーキーの吉田正尚を「1番・指名打者」で起用して話題を集めたが、このオーダーはその斜め上。超絶的に奇抜である。
理屈としては「吉田正と外国人2人を並べたい」「T-岡田の出塁率を生かしたい」という2点を重ね合わせたオーダーだ。この並びがはじまったこの試合では、T-岡田と吉田正が見事に2者連続本塁打をぶち込んだ。
ただ、傍から見れば面白いのだが、オリックスファンの間では賛否両論がある。特にT-岡田は今季31本塁打を放ち、出塁率.374をマークしたが、1番から2番、4番から7番でコロコロと打順が変わり、役割が定まらなかったように見える。一通りの実験を終え、来季はどんなオーダーになっているのだろうか……。期待と不安が入り混じる。
■10月4日:日本ハム(対オリックス)
1(中堅):松本剛
2(遊撃):石井一成
3(一塁):中田翔
4(投手):大谷翔平
5(三塁):横尾俊建
6(二塁):田中賢介
7(右翼):大田泰示
8(左翼):森山恵佑
9(捕手):大野奨太
「4番・投手・大谷翔平」。球史に残る夢オーダーが10月4日、日本ハムの本拠地最終戦で実現した。日本プロ野球で「4番・投手」が起用されたのは、1951年の大阪タイガース・藤村富美男以来、66年ぶりの快挙だ。
いわゆるファンサービスではあるが、スタメン全体を俯瞰すると育成の姿勢は崩しておらず、栗山英樹監督の“らしさ”が出ている。
この試合以外では、7月8日の「1番・一塁・中田翔」も衝撃的だった。
■5月24日:ロッテ(対ソフトバンク)
1(DH):パラデス
2(中堅):荻野貴司
3(一塁):根元俊一
4(左翼):角中勝也
5(二塁):鈴木大地
6(右翼):清田育宏
7(三塁):大嶺翔太
8(遊撃):三木亮
9(捕手):吉田裕太
投手:チェン・グァンユウ
「猫の目打線」がチームの伝統になっており、珍オーダーに慣れっこのロッテファンすら、さすがにざわめいたのは「1番・パラデス」だ。開幕から打線が冷え切っており、打率3割はおろか、1割台の選手もゴロゴロいたのだが、パラデスも例に漏れず、この日の試合開始時点で打率.171。好調だったわけでもなく、前日は中盤の代打出場から2打数1安打。なぜ急に1番で起用されたのか……。ふと2006年の阪神の「1番・スペンサー」を思い出した。
文=落合初春(おちあい・もとはる)