秋季北海道大会の優勝から4カ月、順当にセンバツ出場校に選出された札幌第一。
夏は3回の出場を誇るが、センバツの出場は初めて。3月末の本番に向けて、雪がハンデになる環境も、札幌ドームなどの全天候型施設を使用して、着実に強化を進めている。
チームの浮沈を握るのはエースの上出拓真(写真)だ。左手を高く上げて、ボールの出所を隠す独特のフォームが特徴。130キロ台のストレートとタテに鋭く落ちる変化球のコンビネーションで相手を打ち取る投球術が目を引く。また打者としても、秋季北海道大会の決勝、同点で迎えた終盤の8回に決勝点となる適時打を放つなど、投打で勝負強さが際立つ。
穴のない打線も存在感が光る。1番から9番まで全員がチャンスメイクできるのが強み。派手さはないが、状況に応じた堅実な打撃は相手投手にとっては脅威だ。明治神宮大会では「恐怖の9番打者」となった兼村京佑が大会通算9打数7安打4打点の大活躍。彼の調子次第では大量点も期待できる。目指すは前回大会で準優勝した同じ北海道地区の東海大四超えとなる優勝だ。
東北大会を制して、11年ぶりの出場となる青森山田。まず目が留まるのは4番の大型ショート・三森大貴だ。
180センチを超える長身に60キロ台前半の体重、細身の体型からは想像できないほどのパワーを誇る。神宮大会ではフェンス直撃の長打を放ったが、あまりの打球の速さに審判が本塁打にする誤審を生んだのは今では語り草だ。
エースは堀岡隼人。相手打者のインサイドへの制球が調子のバロメーター。調子が悪い時は、捕手の村山直也が機転の利くリードでフォローする。どんな試合でもバッテリーの共同作業でゲームを作れる。工藤飛馬三塁手の溌剌とした守備も必見だ。
3年連続の出場となる八戸学院光星。秋季大会12試合で合計104得点、1試合平均8点以上奪う攻撃力が最大のウリだ。
旧チームから主力として活躍する田城飛翔を筆頭に長打力がある打者をずらりと揃える。
東北大会決勝戦では守備の失策が重なり、それが打撃のリズムをも狂わせ、0−5の完封負け。守備の改善が上位進出のためのキーになるだろう。
文=長嶋英昭(ながしま・ひであき)
東京生まれ、千葉在住。小学校からの友人が、サッカーのU-18日本代表に選出されたことがキッカケで高校時代から学生スポーツにのめり込む。スポーツの現場に足を運びながら、日本各地の観光地を訪れることが最大の生きがい。現在はアマチュアカテゴリーを中心にスポーツ報道の仕事に携わっている。