■1位:巨人
セ・リーグの1位はかなり悩んだが、巨人にした。
このオフはFAで陽岱鋼、山口俊、森福允彦を獲得。さらに2013年の楽天日本一に貢献したマギー、164キロ右腕・カミネロらを獲得と久々の大補強を敢行した。
ただ、陽がキャンプ中に下半身の張りを訴え、山口俊は右肩の違和感で調整不足と、大補強に暗い影も差している。また、オープン戦では投手陣が大量失点する試合が多く、打線も3月11日のオリックス戦、12日の阪神戦と2試合続けて1安打に抑えられるなど奮わない。
それでもシーズンが始まれば、打線は阿部慎之介、坂本勇人、村田修一らに補強した選手たちが加わり、盛り返しそうだ。投手陣もエース・菅野智之を中心に、マイコラス、田口麗斗、内海哲也とタレント揃い。そこに大竹寛、復活を期す杉内俊哉、新加入の吉川光夫が本来の実力を出せれば優勝は見えてくる。
■2位:広島
2位は昨年のセ・リーグ王者・広島と予想。
WBCでも活躍中の菊池涼介はもちろん、鈴木誠也、新井貴浩、丸佳浩、エルドレッドと打線は充実している。
問題は昨季2ケタ勝利を挙げた黒田博樹の穴をどう埋めるか。
ドラ1ルーキー・加藤拓也には開幕ローテーション入りの期待がかかる。2年目の岡田明丈、へーゲンズもオープン戦で上々の結果を出した。また、大瀬良大地、福井優也も力はある。昨季の最多勝投手・野村祐輔、沢村賞投手のジョンソンの両輪に加え、彼らがしっかりと1年通して活躍できれば2位以上の連覇もあり得る。
■3位:DeNA
3位は昨季、悲願のCS初出場を果たしたDeNA。今季もセ・リーグの台風の目となりそうだ。
打線は筒香嘉智を中心に梶谷隆幸、ロペス、倉本寿彦、桑原将志と充実。ここ数年は不振が続く荒波翔もオープン戦では打撃好調。また、ドラフト9位ルーキーの佐野恵太も6試合連続安打を放つなど猛アピール中だ。
先発投手陣は石田健大と今永昇太の左腕コンビは2ケタ勝利を期待できる。井納翔一も先発ローテは確定。ここにルーキーの濱口遥大、尾仲祐哉、巨人から加入した平良拳太郎、若手有望株の熊原健人、砂田毅樹、ベテランの久保康友らが加わってくるか。全体的にフレッシュな陣容になりそうだが、飛躍する投手が多ければ面白くなりそうだ。
懸案は山崎康晃の勤続疲労。山崎の調子が順位に大きく影響しそうだ。
■4位:阪神
4位はFAで糸井嘉男を獲得した阪神。糸井はキャンプ前の1月下旬に右膝関節炎を発症したが、開幕には間に合いそうだ。
ほかの野手陣ではドラ1ルーキー・大山悠輔と5位の糸原健斗の活躍が影響しそうだ。大山はオープン戦でまずまずの成績を残し、三塁守備も巧みだ。糸原は本職は三塁だが、二塁も守れる。彼らが福留孝介、鳥谷敬、原口文仁、北条史也ら現有戦力にガッチリ噛み合えば上位も見えてくる。
先発投手陣はメッセンジャー、藤浪晋太郎、能見篤史、岩貞祐太の4本柱は盤石だ。5番手以降の候補としては8年目の秋山拓巳と2年目の青柳晃洋がアピール中。2位ルーキーの小野泰己も控えている。
リリーフ陣はクローザーとセットアッパーの確立が課題。クローザーはマテオとなりそうだが、昨季は離脱することもあった。1年間固定できるか。
■5位:ヤクルト
5位は故障者続出で連覇を逃したヤクルト。昨夏は山田哲人、川端慎吾、畠山和洋、雄平がファーム戸田球場で調整という珍事が起きたが、今季もキャンプ途中で川端が椎間板ヘルニアで離脱。開幕に間に合うかは微妙だ。
投手陣も現時点ですでに成瀬善久、久古健太郎、松岡健一、ドラ1位ルーキー・寺島成輝が離脱と厳しい状況だ。
■6位:中日
6位は昨季、19年ぶりの最下位に沈んだ中日。今季も厳しい戦いになりそうだ。FA移籍がささやかれた大島洋平と平田良介の残留は救いだが、補強はあまり芳しくない。
投手陣はルーキー・柳裕也が即戦力と期待されるも右ヒジの炎症で2軍調整中。また昨季、高卒ルーキーながら活躍した小笠原慎之介はオフに左ヒジの遊離軟骨除去手術。野手陣は、福田永将が右肩痛で復帰の目途が立っていないのが痛手だ。遊撃で開幕スタメンを狙える勢いのルーキー・京田陽太ら若手の台頭に期待したい。
■セ・リーグ予想順位
1位:巨人
2位:広島
3位:DeNA
4位:阪神
5位:ヤクルト
6位:中日
■1位:ソフトバンク
1位は昨季、日本ハムに大逆転され3連覇を逃したソフトバンク。
打撃陣は柳田悠岐、内川聖一、松田宣浩、中村晃、長谷川勇也らが集う強力打線に、今季からはデスパイネが加わり、さらに破壊力が増す。
先発陣は武田翔太、千賀滉大、和田毅、バンデンハークは当確。そこに昨年飛躍した東浜巨、実績十分の攝津正、中田賢一、復活にかける松坂大輔らによるハイレベルなローテ争いが繰り広げられている。
リリーフ陣も森福允彦が抜けたもののサファテ、五十嵐亮太、森唯斗、岩崎翔と役者が揃い、嘉弥真新也がポスト森福として評価を上げている。戦力充実のソフトバンクがやはり優勝の大本命だ。
■2位:日本ハム
2位は日本ハム。昨季は大谷翔平の大活躍もあり10年ぶりの日本一に輝いたが、今年もチームの順位は大谷次第となりそうだ。
打者・大谷は3月14日にオープン戦に初出場し、2ランホームランを含む2安打2打点と活躍。だが、投手・大谷の復活はまだ時間がかかるか。投手としての復帰時期が順位に大きな影響を及ぼすだろう。
打撃陣は中田翔、レアード、西川遥輝、中島卓也、田中賢介らが揃い充実。投手陣は昨年、有原航平、高梨裕稔、加藤貴之、井口和朋ら若手の活躍が目立つが、やや先発投手が不足している。アメリカ帰りの村田透がどこまで活躍できるか。
■3位:ロッテ
3位はロッテ。主砲・デスパイネがソフトバンクへ移籍したため、戦力ダウンが心配される。
それでも、新外国人選手のパラデス、ダフィーと長距離砲を獲得できたのは好材料。パラデスは2015年にメジャー104試合で打率.275、10本塁打と実績十分。2人ともオープン戦の成績は上々だ。シーズンでも活躍できればデスパイネの穴が埋まる上、ウィークポイントの本塁打数も改善できる。
投手陣ではルーキー・佐々木千隼が順調。開幕ローテ入りも期待できる。同じくルーキーの酒居知史も評価を上げている。また、大嶺祐太もオープン戦で好投を続け、伊東勤監督が嬉しい悩みと話すほどローテ争いは激化。昨季の最優秀防御率の石川歩、涌井秀章も健在なだけに、先発陣は充実しそうだ。
■4位:オリックス
4位は、昨季、完全最下位という不名誉な記録を作ってしまったオリックス。打線の中心を担った糸井嘉男も阪神へ移籍と戦力ダウンを感じさせる。
だが、糸井の穴を新外国人選手のロメロが埋める可能性が高い。オープン戦で4番に座るロメロはここまで打率5割と大活躍(3月14日現在)。守備でも右翼でアピールしている。
投手陣はエースの金子千尋と西勇輝の復活があれば上位進出も狙える。また、ドラ1位ルーキーの山岡泰輔も開幕ローテーションを狙う勢いだ。復活したエースと新戦力が噛み合えば面白い。
また、リリーフ陣も平野佳寿、佐藤達也、岸田護、吉田一将、塚原頌平ら力のあるメンバーに、ルーキーの澤田圭佑、昨季メジャーで40試合に登板した新外国人ヘルメンと楽しみな新戦力が加わる。
■5位:西武
5位は西武。不動のエースだった岸孝之の流出は痛手だ。
打線はリーグ屈指の力がある。オープン戦を見るとルーキーの源田壮亮は遊撃で開幕スタメン入りしそうだ。また、木村文紀が打撃好調で凄みを増しているように感じる。唯一の不安は左ヒジ骨折の森友哉がいつ復帰できるかだ。
岸が抜けた先発投手陣は、唯一計算できるのは菊池雄星のみ。高橋光成、多和田真三郎、十亀剣、野上亮磨らは潜在能力は高いが、いずれも計算しづらい。救援陣は抑えの増田達至を筆頭に牧田和久、武隈祥太ら駒は揃っているので、先発投手陣の奮起が今季のカギを握ることになりそうだ。
■6位:楽天
6位は楽天。岸孝之の加入は大きいが全体的に駒不足と感じる。
打撃陣で本塁打を期待できそうなのはウィーラーくらい。銀次、茂木栄五郎、今江年晶は、安定感はあるが、ほかは好不調の波が激しい。
投手陣では岸と則本昂大の活躍は見込める。しかし、2人に続く塩見貴洋、美馬学、釜田佳直、安樂智大らは蓋を開けてみなければわからないのが実情。岸と則本以外に安定した成績を残す投手が出てくればチームの浮上が期待できる。
■パリーグ予想順位
1位:ソフトバンク
2位:日本ハム
3位:ロッテ
4位:オリックス
5位:西武
6位:楽天
以前、ある講演会で某プロ野球解説者が「プロ野球順位予想がすべて当たったら宝くじみたいに景品がもらえればいいな」と話していた。実際、解説者であっても完璧に順位を当てることは難しい。
一方で、順位を予想することでよりプロ野球に真剣に向き合えると、この原稿を書きながら感じた。読者のみなさんはどう順位予想されるだろうか?
文=山岸健人(やまぎし・けんと)