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【横浜】三浦大輔、【日本ハム】稲葉篤紀、優勝の意味と難しさを知る男たちの生き様を見よ!

 セ・リーグの4位につけ、奇跡のCS進出を目指す横浜DeNAベイスターズ。パ・リーグの3位につけ、CS出場を早く決めたい北海道日本ハムファイターズ。どちらのチームにも共通するのは、40歳を超えた超ベテランが今一番熱く、そして誰よりも優勝を渇望しているということだ。

◎DeNA/チームを鼓舞するハマの番長・三浦大輔



 9月5日、セ・リーグは8月の月間MVPを発表。投手部門で選ばれたのは、DeNAの三浦大輔だった。8月の三浦は月間3勝を挙げ、防御率はセで唯一の1点台となる1.20と、抜群の安定感でチームの躍進に貢献した。

 40歳で迎えた今シーズンは投手兼任コーチにも就任。これまで以上に強い責任感をもってシーズンを迎えたにもかかわらず、序盤は勝てない日々が続き、2軍落ちも経験した。それでも腐ることなく地道な調整を続けたからこそ今がある。

 1998年の優勝時に主力だった選手で、いまだに現役を続けるのはDeNAでは三浦、ただ1人だ。FA権を取得しても残留し続けたのは、「もう一度ベイスターズに優勝を」というファンの声に応えるために他ならない。

 現在4位のDeNAは3位に5ゲーム差以上離され、CS出場権獲得は厳しいと言わざるをえないが、光明は他チームに比べて残りゲームが圧倒的に多いこと。連戦でツラくなる投手陣を奮起させるのも、兼任コーチである番長の役割だ。


◎日本ハム/優勝請負人が目指す有終の美


 9月2日、2000年代後半の球界を支え、2012年には2000安打を達成した稲葉篤紀が今季限りでの引退を表明した。ヤクルト、日本ハムでプレーし、7度のリーグ優勝と4度の日本一を経験。特筆すべきは、野村克也、若松勉、トレイ・ヒルマン、梨田昌孝、栗山英樹と、5人の監督を全て優勝に導いたことだろう。引退会見でも「全ての監督を胴上げしてきたので、これだけは自慢にできるかなって思います」と胸を張った。まさに優勝請負人だ。

 チームを勝利に導き、名球会入りも果たした稲葉だが、入団時の評価は決して高くなかった。それでも、あの野村監督をして「守備に限らず、稲葉ほど努力する男を、私は見たことがない」(『この一球 〜野村克也の人生論〜』より)と言わしめた練習の虫。それゆえ、チームメイトからの信頼も厚い。

 42歳のシーズンとなった今季は春先から体調が思わしくなく、キャンプ途中には既に引退の意向を固めていたという。しかし、最後のシーズンだからこそ悔いを残さず、そしてチームに貢献できるようにと、開幕後にあえて左膝の手術を受けたのが何とも稲葉らしい。

 現在3位につける日本ハムだが、1位・ソフトバンク、2位・オリックスとの成績の差は歴然だ。しかし、クライマックスシリーズでは、シーズンの成績はリセットされ、その短期決戦で最大の力を発揮すれば、勝ち上がることができる。最後の起爆剤として、稲葉のバットに頼るシーンも出てくるはず。稲葉の勇姿も、稲葉ジャンプもまだ終わるわけにはいかない。


■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。ツイッター/@oguman1977

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