大分の有望選手、大会展望
7月5日〜22日(別大興産スタジアム)
優勝候補は総合力で他を圧倒する大分商
150キロ右腕・佐野の大分が猛追する!
投手編
▲佐野皓大(大分)
近年稀に見る大豊作!
今年の大分県は、好素材の投手が大林立する“宝の山”状態だ。
先頭に立ったのは、春の九州大会で最速150キロを叩き出した右腕・佐野皓大(大分)。特に準々決勝の東福岡戦は圧巻だった。8回には突然目覚めたかのように140キロ台後半を連発。コースを精巧に突く制球力はなかったが、「そんなもの関係ない」とばかりに力で押しまくったパワープレーに、居合わせたスカウト陣も色めき立った。九州最速男の称号を手にしたことで、一躍ドラフト戦線の上位に急浮上だ。
総合力では笠谷俊介(大分商)の左腕が佐野を上回る。昨夏の甲子園にも出場した左腕は順調に成長を遂げ、杉内俊哉(巨人)を彷彿とさせる力感から放たれるキレたストレートは、最速143キロ以上の質を誇る。スライダー、チェンジアップ、カットボールのキレ、制球力、牽制の巧さも高校生の域を大きく超えている。
同じ最速143キロで佐野、笠谷を追うのが牧悠弥(情報科学)と池田皐平(藤蔭)の両右腕だ。牧はスライダーや落差の大きなカーブといった変化球の精度が向上すれば、たちまち先行する佐野や笠谷をとらえるだろう。池田はカーブ、タテ横のスライダー、フォークと、空振りを奪える変化球にも目を見張るものがある。
昨年から主戦の座を争った梅木大哉、橋本敦也の両右腕(ともに大分上野丘)も進化している。両者ともストレートが単に140キロを超えているというだけの評価ではない。相手にまったく打撃をさせない球の回転数が最大の魅力だ。
186センチ90キロの下地元(柳ヶ浦)、180センチ75キロの伊藤昂恭(別府青山)。伸び悩む両右腕の“開花”にも期待したい。2年生では多彩な変化を誇る前田剛(明豊)のテクニックにも注目である。
打者編
▲有田曜佑(大分商)
爆発期待の大型打者も
昨夏の甲子園経験者が多数残った大分商の上位打線は見栄えから他を圧倒している。有田曜佑はミート力と速球系に振り負けないスイングの力強さに定評がある。また、入学してすぐに4番を任された後藤瞭介のパンチ力も健在だ。打球の強さは申し分ないだけに、あとは確率を上げていきたい。最近では4番を打つこともある笠谷にも、春以降はサク越えの当たりが目立ちはじめている。
藤原湧大(杵築)は強打の捕手。ツボにはまった時に見られる引っ張りの打球は、火の出るような勢いで左中間を割っていく。長打力なら藤田貴裕(大分上野丘)の名も挙がる。184センチ88キロという類まれな身体スペックから放たれる打球の勢いは、相手投手陣を震え上がらせるほどの迫力だ。
別府青山が誇る180センチ超の大型デュオ・仲野倖平、荒金宏彰も“飛ばし”のセンスを備えているだけに、爆発すれば面白いことになりそう。
大分の150キロ投手・佐野は、4番を任される右の強打者でもある。3番を打つ広角打者の井上恭輔とともに、勝負強い打撃は他チームにとって大きな脅威になる。
小気味よい守備力とパワフルなスイングが身上の上野快(大分西)は攻守ともにセンス抜群だ。
大会展望
2強突出 ! 付け入るスキは?
圧倒的な投手力と経験値、そして打線の力を考えれば、大分商が文句なしの優勝候補。その大分商に勝って春の王者となった、150キロ右腕・佐野を擁する大分が猛追するという構図だ。第2集団以降は大混戦状態だが、やはり高水準の投手、それも昨年夏の大分上野丘のように、枚数を揃えたチームが抜け出してくるだろう。昨年の中学全国制覇を達成した高田中ナインがごっそり入学した高田も、春は上級生のみで8強進出。秋以降を占う意味でも、マークしておきたい存在だ。
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