東京スタジアムは現在のロッテの前身である「大毎オリオンズ」のかつての本拠地。名物オーナー・永田雅一氏が私財を投じて1962年に落成した。
その後、大毎は「東京オリオンズ」と球団名を変えて奮闘したが、1971年に親会社の大映が球団の経営権をロッテに譲渡。後に大映は倒産することになる。
これにともない関連子会社の東京スタジアムも累積赤字が膨らみ、新オーナーのロッテもスタジアムの救済に難色を示したため、東京スタジアムは開場からわずか11年目の1972年に閉鎖が決まった。
東京スタジアムは閉鎖後、東京都が跡地を取得し、現在は体育施設「荒川総合スポーツセンター」として運営されている。体育館やプール、柔剣道、エアライフル場などが完備。なかでもプールは五輪金メダリストの北島康介氏が幼少期に利用していたことで話題となった。
大阪球場は1950年〜1988年に南海(現ソフトバンク)、1950年〜1957年に近鉄(現在はオリックスと合併)、1951年〜1954年に松竹(後の大洋松竹、現DeNA)が本拠地とした、当時の人気球場。
南海難波駅の駅前という好立地だったためにプロ野球の使用だけにとどまらず、日本初のスタジアムコンサートやテレビの大規模なクイズ番組、プロレスやボクシングの会場としても頻繁に使用された。
1988年に南海がダイエーに売却されて福岡に移転した後は近鉄が準本拠地として使用していたが、難波地区の再開発計画によって解体が決定。
再開発が実施されるまでの期間を住宅展示場(なんば大阪球場住宅博)として使用された後、1998年に解体。現在は商業施設とシネコン、分譲マンションが複合した大型施設「なんばパークス」となっている。
■阪急西宮スタジアム球場(通称:西宮球場、兵庫県西宮市)
阪急(現オリックス)が本拠地にしていた西宮球場は、野球と並行して競輪が開催されたほか、アメフトの試合やコンサートも行われるなど多目的スタジアムとして賑わった。
しかし1988年に阪急がオリックスに買収され、1991年に本拠地が神戸に移転。2002年に西宮競輪場が廃止されると同年限りで球場も閉鎖した。現在は大型ショッピングセンターの「阪急西宮ガーデンズ」となっている。
■藤井寺球場(大阪府藤井寺市)/日本生命球場(通称:日生球場、大阪市中央区)
1997年に大阪ドーム(現京セラドーム大阪)ができるまで、藤井寺球場と日生球場のダブルフランチャイズをとっていた近鉄。これは周辺住民への配慮で藤井寺に長らくナイター設備が設置できなかったためだ。
近鉄の大阪ドーム移転後、藤井寺球場は近鉄の練習場や2軍の本拠地に、日生球場は主にアマチュア野球の球場として使用されていたが、最終的に両球場とも閉鎖。現在、藤井寺球場は学校法人「四天王寺学園」に、日生球場はショッピングモール「もりのみやキューズモールBASE」として生まれ変わった。
ちなみに既存球場のドーム化・ボールパーク化のための「プチ移転」にともなう、旧球場の現状は以下の通り。
■後楽園球場(東京都文京区)
地上43階建、全1006室の東京ドームホテルとして営業中。
■ナゴヤ球場(名古屋市中川区)
中日の2軍の本拠地球場および練習場として現存。
■広島市民球場(広島市中区)
旧右翼席の一部を残して解体。サンフレッチェ広島の新スタジアムの候補地として広島市が検討中。
■平和台野球場(福岡市中央区)
解体されて歴史的な遺跡のある舞鶴公園の一部に。
文=サトウタカシ (さとう・たかし)