交流戦がスタートした2005年。MVPを獲得したのはロッテの「コバヒロ」こと小林宏之だった。
投げては5勝0敗と負けなし。それ以上に印象に残っているのは、野手顔負けのバッティングだった。10打数3安打3打点の打率.333と結果を残し、放った3安打がすべて二塁打だった。
なかでも敵地・東京ドームで行われた5月25日の巨人戦では4回にスクイズを決め、本業のピッチングは7回途中まで3失点で勝利投手と投打で活躍。ちなみにその日は長男が誕生するなど、小林にとっては忘れられない一日となった。
チームの交流戦初制覇に貢献した小林は、この年12勝を挙げて先発の一角として31年ぶりのロッテに日本一をもたらした。
1位から6位までの上位をパ・リーグが上位を独占した2010年の交流戦。岡田彰布監督が就任したオリックスが交流戦初優勝を果たした。
なかでもプロ5年目の若手・T−岡田のバッティングが冴え渡り、交流戦MVPを受賞。前年、43試合で7本塁打と、長距離砲として台頭。オフには登録名を本名の「岡田貴弘」から「T−岡田」に変更する。
シーズンが始まった当初は打撃不振が続くも、5月途中には打撃フォームをノーステップ打法にすると打撃が上向き、4番を任されるまでに成長。交流戦では規定打席こそ届かなかったが24打点、得点圏打率.588と、ともに交流戦トップの結果を残して、その勝負強さでチームの交流戦制覇に大きく貢献した。
その後も初のオールスター出場、月間MVP獲得と、持ち味である豪快なバッティングで本塁打を量産。33本塁打で初の本塁打王を受賞し、飛躍のシーズンとなった。
ソフトバンクが2年ぶり3回目の交流戦優勝を果たしたこの年、打線を引っ張ったのは内川聖一だった。前年オフ、横浜からFAでソフトバンクへ移籍した内川は、開幕直後から3番打者として好成績を残し、4月の月間MVPを受賞。
5月には右太ももの張りで一時スタメンを外れるが、交流戦直前で復帰。交流戦ではチームトップの打率.326と、前年まで対戦していたセ・リーグの投手たちからヒットを重ね、長打率.554は交流戦2位の数字を残して、打線の中軸として交流戦制覇に貢献した。
交流戦後は右太もも肉離れのため登録抹消と悔しさを味わったが、8月に復帰すると再びヒットを量産し、最終的には114試合に出場して打率.338で首位打者を獲得。江藤慎一(元中日ほか)以来2人目となる両リーグで首位打者に。チームはシーズン1位で終えるとCS、日本シリーズを制し、内川自身プロ入り初めての日本一に輝いた。
文=武山智史(たけやま・さとし)