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何十年もバックネット裏で暮らすラガーさんも「ちょっと舐めてたね」今年の甲子園、予想外3連発!

 「優勝候補」といわれた学校が次々に姿を消し、初優勝をかけた戦いとなった今年の甲子園・決勝。結果は前橋育英が見事に「初出場初優勝」という快挙を達成したが、その勝利を戦前から疑っていなかったのが我らがラガーさんだ。前橋育英カラーのラガーシャツをまとい、準決勝前から「前橋育英がくる!」と連呼していた。

 そんな予言者・ラガーさんをもってしても、今大会は「意外」な展開、「予想外」のことが多かったという。一体何がこれまでの大会と違ったのか? ラガーさんの「予想外」を通して、第95回全国高等学校野球選手権大会をいま一度振り返ってみたい。

今年の暑さは予想外


「今年こんなに暑くなるなんて、ちょっと舐めてたね。序盤でもうかなり暑さにやられちゃって、結構キツかったよ。体もだいぶなまっていたね。反省です」

 甲子園から帰還したラガーさんの口からまず漏れたのは反省だった。今年で15年目となったラガーさんの甲子園・バックネット裏観戦。そんな大ベテランをもってしても、今年の夏は予想外だったという。そして、この「暑さ」にやられたのはラガーさんだけではない! と言及する。

「仙台育英戦での浦和学院・小島(和哉)投手と、前橋育英戦での常総学院・飯田(晴海)投手。2人とも、9回に突如足を故障して降板したよね。そして、どちらのチームも勝ち上がれなかった。あの投手交代がなければ、前橋育英はあそこで敗退していたかもしれないんだから、勝負はわからないね」


▲飯田晴海(常総学院)


 2人の突然のアクシデントには暑さも影響したのでは? というのがラガーさんの見立て。

「長年観戦してきたラガーさんでも、あんな風に降板するシーンはあまり記憶にないよ。それが立て続けに起きたんだから、今年の甲子園のマウンドがいかに過酷な状況だったか、ということだよね」

観客の多さが予想外


 続いてラガーさんが「予想外だった」と語ったのが観客の多さだ。

「毎試合、4万人近くの人が詰めかけて、ちょっとビックリだよね。あまりに人が多いから、ラガーさんもいつもの場所を狙われないか心配で、おちおち寝られなかったよ。そしてお土産も売り切れ続出。あんまりいいモノが買えなかったね」

 主催者発表によると、今大会の総入場者数は85万4000人で、昨年比4万5000人増。しかも今大会は準々決勝が「1日開催」となり、例年よりも1日少なかった中でのこの人数。ラガーさんが驚くのもうなずける。

「しかも今年、入場料が値上がりしてるんだよ。アルプス席が500円から600円に、一・三塁側の特別自由席が1200円から1500円に、ラガーさんのいたネット裏の中央特別自由席なんて、1600円から2000円に値上がり! ラガーさんにとっても死活問題だったけど、お金にシビアな関西の人は来なくなっちゃうんじゃないかと心配してたんだけどね」

 1点差や逆転劇が多かった試合内容のおかげかもしれないが、高校野球人気が高まることは誰にとってもプラスなのではないだろうか? ラガーさんのように。

「おかげで今年のラガーさん人気はスゴかったよ。取材の数も例年以上だったし、これも予想外だね」

?橋光成投手の快投は、いい意味での予想外


 そして今大会を語る上で欠かせないのが、優勝した前橋育英の2年生エース・?橋光成投手だ。ラガーさんは彼の活躍をどう見たのか?

「いいピッチャーだとは聞いていたし、期待もしていたんだけど、あそこのまでのピッチングをするとはねぇ。中学まで無名だったなんて意外だね」

 実際、初戦で9者連続三振という「甲子園デビュー」を果たすと、6試合で687球を投げ抜き、大会通算防御率0.36という圧巻の投球だった。

「?橋投手は、真っすぐももちろんいいんだけど、タテの変化球がすごく良かったんだよ。身長も高い(188センチ)からかな。あのタテの変化は何? スライダー? フォーク? ラガーさんが見てても幻惑されるんだから、バッターは打てないよね」

 他にもラガーさんは、明徳義塾・岸潤一郎投手、済美・安樂智大投手、前述した浦和学院・小島投手ら2年生エースの名を挙げ、早くも秋以降の高校球界へ期待を寄せる。

「2年生っていうのは、一番伸びる時期なのかもしれないね。去年の桐光学園・松井(裕樹)投手も、2年生で躍進したんだもんね」


▲岸潤一郎(明徳義塾)


 今年の甲子園は終わっても、ラガーさんの「高校野球熱」はもちろん終わらない。秋の大会でもバックネット裏のラガーさんを探してみてはいかがだろうか?


文=オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

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