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オリックスの未来を拓け! ファンと選手とともに成長する田口壮2軍監督


 オリックスの1軍は最下位に終わり、2軍もウエスタン・リーグで2年連続最下位に終わった。

 オリックスの2軍監督には今季から田口壮が就任。田口2軍監督のこの1年はどんなシーズンだったのだろうか?

監督らしくない監督


 田口壮と言えば、メジャー時代から自身のホームページで日記を配信していた。そして、2軍監督になってからは複数のサイトで情報を発信している。

 そこでは、なかなか知ることのできない2軍監督の仕事や考え方などを知ることができる。1軍と2軍の間の連絡、オーダーの悩み、サインの奥に隠された意味など、とても興味深く綴られている。

 しかし、たまに「この人、本当に監督?」と思ってしまうことがある。2軍監督になって「どうしよう?」と悩んだり、球場入りの時間を気にしたり、食事の時間を気にしたりしている。そんな情報を見るたびに、親近感が湧いてしまう。

 就任1年目の田口2軍監督は、ファームの選手とともに成長しているようだ。少しずつではあるが、チームは負けが込んでいても、選手は勝利への執念を見せるようになってきた。


1軍へ上がった選手たち


 ファームの目的は選手の育成。選手が1軍へ上がって活躍することが、一番期待されるところだ。そこで今季、1軍へ上がった選手を見てみよう。

 若月健矢は、昨季の終盤に1軍の試合に出場。今季は伊藤光や山崎勝己に代わりマスクをかぶり、捕手のなかでは最多の85試合に出場した。

 吉田正尚の活躍はめざましかった。阪神とのオープン戦、藤川球児から放ったホームランで開幕1軍をつかんだ。その後腰を痛めファーム落ちとなったが、8月中旬に復帰すると、10本のホームランを打つなど大活躍を見せた。

 園部聡も成長株のひとり。7月に育成登録から支配下選手に戻り、すぐに1軍登録されたが、成績を残せず即ファームに落ちた。しかし、そこから鍛え直し、9月に1軍に上がると、プロ初ホームランを放つなどいいところを見せた。田口監督によれば気持ちの強さが出ているという。

 ほかにも山田修義が7年目の初勝利を挙げ、ローテーションの一角に入った。奥浪鏡、宗佑磨のデビューなど、今後が期待される選手も1軍で出場することができた。しかし、まだ1軍の戦力と呼べるほどの活躍には至っていない。

日本一、世界一を知る監督


 期待の若手が出てきてはいるものの、この1年で田口2軍監督の評価をすることはできない。これから先もオリックスの勝利のために、どれだけの若手選手を1軍へ送り込むことができるかに注目しなければならない。

 ウエスタン・リーグ最終戦の後に、田口2軍監督はファンに向かってあいさつをした。そのなかにはこんな言葉があった。

「オリックスというチームは95年96年、『がんばろう神戸』という言葉の元に、ファンの方々と選手が一体になった。そのDNAはずっと受け継がれていくと思います」

 オリックスの優勝を知り、そしてメジャーリーグでも優勝を経験している田口2軍監督。ぜひとも勝利のDNAを継承し、勝てる選手を1軍へ送り込み、勝てるチーム作りを実現してほしい。

 そしていつの日か、1軍の監督として指揮を執ってほしいとファンは願っている。


文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。

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