高校通算111本塁打を誇るスラッガー、清宮に期待されるのはやはり本塁打だろう。
ドラフト制導入後に限定すると、実は高卒ルーキーの2ケタ本塁打はレア中のレア記録。1位は清原和博(当時西武、1986年)で31本塁打。これは高卒1年目だけではなく、歴代ルーキー1位の記録でもはや別格だ。
次に続くのは松井秀喜(当時巨人、1993年)で11本塁打。ドラフト導入以降はこの2人しかいない。
ドラフト導入以前に目を向けると、1950年代に豊田泰光(当時西鉄、27本塁打)、榎本喜八(当時毎日、16本塁打)、張本勲(当時東映、13本塁打)、中西太(当時西鉄、12本塁打)が達成し、いずれもその後、球界を代表する打者に成長している。「高卒ルーキー2ケタ本塁打=名打者」の法則。清宮が期待されるのはこのラインだ。
先述の通り、オープン戦では苦しんでいる清宮だが、希望がないわけではない。好例は松井秀喜だ。
甲子園での5打席連続敬遠など、伝説を引っさげて巨人に入団した松井もプロ1年目のオープン戦は苦しんだ。53打数5安打、打率.094、20三振。多くのファンをガッカリさせた。
そして開幕を前に2軍降格。前半戦は1軍と2軍を行き来した。しかし、後半戦になるとプロのボールにも慣れ、シーズンが終わってみると11本塁打を記録。出場は57試合、打数は184だった。
また、伝説のルーキー・清原和博もオープン戦は0本塁打。まさかシーズン31本塁打を打つとは誰も思っていなかった。開幕しても、4月は26打数6安打で打率.231。2本塁打が飛び出したが、出足は鈍かった。
ルーキー時の春先の大活躍は、どんな大打者をもってしても難しいということ。肝は適応力だ。オープン戦での凡打をシーズンにどう繋げるか。清宮もファンも2ケタ本塁打をあきらめるのはまだ早い。
文=落合初春(おちあい・もとはる)