阪神1位 馬場皐輔・質のいい最速155キロに変化球も◎の馬力型右腕
2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。
週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。
今回の指名選手
阪神 ドラフト1位
馬場皐輔(ばば・こうすけ)
180センチ90キロ/右投右打。1995(平成7)年5月18日生まれ、宮城県塩釜市出身。小学3年から塩釜ドラゴンズで野球を始め、塩釜三中では七ヶ浜シニアに所属。仙台育英高では2年秋の明治神宮大会優勝、3年春夏甲子園出場。仙台大では1、2年時に大学選手権出場。最速155キロのストレートにスライダー、スプリットを織り交ぜた投球が武器の馬力型右腕。
森本吉謙監督の証言
★最初の印象
馬場が高校3年の春の東北大会を見ました。パワーピッチャーだなという印象です。当時、仙台育英は明治神宮大会を優勝しており、戦力が整っていました。エースは完成度の高いピッチャーでしたが、馬場はできていないところがあったので、伸びしろがあるな
と。これからどう変わっていくのか楽しみだなと思いましたね。
★DeNA・熊原の存在
2年前、熊原(健人、DeNA)が本学から初めてプロに入りましたが、頑張っていれば、プロへの道が開けるという感覚になったと思います。馬場はプロになりたくて進学したと言っていましたので、大学時代の熊原、そして今の熊原の姿を見ることでいろいろ感じるとろこがあるのではないでしょうか。ただ、他人に影響を受ける部分は、他の選手よりは少ないですね。競争より、いかに自分を高めるかに目が向いていますので。
★後半の強さを求めて
去年の春はいいピッチングをしていても、8、9回につかまっていました。それが、ありえないほどの確率で続くので、本人も意識し始めてしまって。そこで、8、9回をどう投げるかが課題になり、そのイニングだけを投げる抑えという形で起用しました。昨秋はそんなに出番がなく、登板回数が減ったのでケガなんじゃないかという説も出ましたが、その課題を克服するためだったんです。あの球速で、スイッチも入りやすい選手なので抑えも面白いのですが、大学で抑えになるとそれまでになるので、あくまで先発投手として1試合をしっかり投げられるようにするためでした。
★これから
自分の力量をちゃんと測り、その物差しの中でバッターと対戦する時、その力量をどう使っていくかが見えてくるともっとピッチングの幅が広がってくるでしょう。本来であれば、大学生が打てるボールではない。この先、いろんな壁にぶつかった時に自分の能力をしっかり測って、課題を把握できるようになれば、まだまだ伸びる選手だと思います。
監督さんプロフィール
森本吉謙[もりもと・よしかた]
1974(昭和49)年生まれ、広島県出身。祇園北高〜筑波大。筑波大のコーチを経て、2004年に仙台大の監督に就任。2014、2015年と2年連続で大学選手権出場にチームを導く。仙台大教授。
本人の証言
★憧れ
初めて高校野球を観たのが、2006年夏の宮城大会決勝で仙台育英と東北が延長15
回を引き分けた試合です。由規さん(ヤクルト)がすごく印象的でした。親からは地元の公立高校を勧められましたが、仙台育英に行きたいと言いました。由規さんは最初のヒーロー。この時にプロになりたいという野球人生の目標もできました。
★地元の体育大へ
仙台大は体育大なので、スポーツをする環境が整っているところに魅力を感じました。講義も体のメカニズムや心理など、スポーツマンとして成長できることばかり。知らなかったことを知る機会が多く、考え方が広がりました。
★球速へのこだわりは……
結果的に155キロが出ていますが、やっぱり、空振りを取れるストレートを投げたいです。先輩の熊原さんを見ていると空振りが取れていたので、球速よりもキレが大切だと感じました。富士大だった多和田(真三郎)さん(西武)、小野(泰己)さん(阪神)からも学ぶことが多くありました。
★同学年が刺激
同じ年の松井(裕樹、楽天)や山岡(泰輔、オリックス)と何が違い、差がついているのかを考えて、自分を奮い立たせています。高校のチームメイトも、(上林)誠知(ソフトバンク)はオールスターゲームにも出ていてすごい。大学日本代表にも二人が入っているのでいい刺激になります。
★これから
力投派と言われていますが、上で野球をするためには、もうちょっと技術を上げていきたいと思っています。力勝負をするより、打ち取っていくピッチャーになりたい。ストレートはまだ自信がないので磨いていきたいです。
球種に関する証言
ストレート 140 〜 155キロ
スライダー 130 〜 138キロ
スプリット 130 〜 140キロ
カットボール 135 〜 145キロ
カーブ 110 〜 120キロ
チェンジアップ 110 〜 115キロ
スライダーとスプリットはカウントを取ることができ、決め球にもできます。この2つの調子がいいと抑えられるのでバロメーターになります。ストレートはもっと回転数を追求していきたいと思っています。(本人)
フォームに関する証言
監督
テイクバックが独特でバッターはタイミングが取りにくいです。たまに変化球を投げる時に腕の位置が変わることがあるので、同じ位置で投げられるようになれば精度は上がると思います。
本人
リラックスしたフォームで投げることを理想としてきました。大学で学年が上がるにつれ、だんだんとできるようになり、今は軽く投げてもスピードが出るようになりました。あと、グローブの使い方を意識しています。
グラウンド外の素顔
大学の先輩でもある熊原もそうだったが、どこか不思議なオーラがある。本人はいたって普通なのだろうが、みんなが右を向いている時に上を向いているような(?)独特の世界観を持っている。仙台育英時代から佐々木順一朗監督には「馬場ワールド」と言われていたほどだ。とても155キロの剛球を放る投手とは思えないほど、優しい性格だが、自分と向き合う独特の世界観はプロ向きだろう。
本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・高橋昌江氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。
取材・文 高橋昌江
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