■東筑(福岡、20年ぶり3回目)
秋季九州大会4強で2季連続の甲子園出場。県内有数の進学校であり、文武両道の県立校として知られる。
昨夏の甲子園から引き続き、サイド右腕の石田旭昇(新3年)がエースを務める。東筑はこれまでに夏の甲子園に6回出場しているが、うち4回、エースの姓が「石田」だったことが話題となったのも記憶に新しい。
正捕手の北村謙介(新3年)も昨夏の甲子園を経験。大舞台で夏に果たせなかった「1勝」を目指す。
■創成館(長崎、4年ぶり3回目)
九州大会で優勝、明治神宮大会で準優勝。神宮大会準決勝では西の横綱・大阪桐蔭を7対4で下す金星をあげた。
部員数100人を超えるマンモス野球部で投手陣も20名を超える。エースナンバーを背負うのは川原陸(新3年)。184センチの長身から最速141キロを投げ込む左腕で、九州大会準決勝では延岡学園を相手に完封勝利を収めた。
サイドスローとスリークオーターを使い分ける右腕・伊藤大和、明治神宮大会で2試合に先発した七俵陸(ともに新3年)など、投手陣の層の厚さは出場校のなかでも指折り。強力投手陣で甲子園に乗り込む。
■延岡学園(宮崎、12年ぶり3回目)
九州大会4強。大黒柱はエース・上野元基(新3年)。緩急自在の投球と冷静なマウンドさばきが光る右腕だが、実は中学時代に門川町立門川中で春の全日本少年、夏の全中を制した「中学春夏連覇ピッチャー」。延岡学園のメンバーには主将の椿原塁(新3年)をはじめ、門川中出身のメンバーも多く、全国大会での勝ち上がり方を知っている。
4番・小幡竜平(新3年)もプロ注目の逸材。三拍子揃った大型ショートで、強肩強打が光る。昨秋から就任した三浦正行監督(元大洋)はプロ野球でコーチを務めた経験もある。その采配が注目される。
■富島(宮崎、初出場)
九州大会準優勝で春夏通じて初の甲子園。エース・黒木将胤は細身ながら闘志あふれる投球が持ち味の右腕。九州大会では3試合連続完投勝利を挙げるなど、タフネスぶりを発揮して甲子園切符をつかんだ。
前身から合わせると100年以上の歴史を持つ伝統校だが、実は野球部は新興勢力。宮崎商を率いて甲子園に出場したこともある浜田登監督が2013年に赴任し、当初1年生部員6名、2年生部員5人だけだった野球部を大きく発展させた。
日向市では「ひょっとこ夏祭り」が有名で早くも富島には「ひょっとこ打線」の二つ名がついている。アルプススタンドの応援でも、多数のお面が登場することだろう。
■伊万里(佐賀、初出場)
佐賀県大会準優勝で21世紀枠選出。2013年より伊万里市が「目指せ! 甲子園プロジェクト」を設立し、地域一体で市内の高校野球の強化を図ってきた。地域の後押しに加え、伊万里の選手もボランティアで少年野球の審判を務めるなど、野球を通して地域交流を推し進めた点が大きく評価された。
佐賀県大会では佐賀商、佐賀北といった強豪校を破り、実力も申し分ない。上位進出のキーマンはエースの山口修司(新3年)。球速こそ130キロに満たないが、抜群のコントロールと多彩な変化球で交わす投球が持ち味。九州大会初戦では沖縄尚学の打線に捕まり、9回8失点負けを喫したが、一冬越えて全国の強豪と戦えるレベルに押し上げてきたはずだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)