まずはSNSのなかで最もポピュラーなTwitterで見てみよう。2009年にオリックスがいち早く球団公式Twitterを開設。ちょうどTwitterが一般的に認知し始めた翌2010年にはアカウントを開設する球団が増え、現在ではDeNAと広島を除く10球団が公式アカウントを持っている。
最もフォロワー数が多いのは阪神で86万人強。2位のソフトバンクの約59万人を大きく引き離している。
Twitterで投稿されるのは試合情報や試合結果、イベント情報といった「球団からのお知らせ」という要素が強いが、各球団の独自色の強い情報も多い。
ソフトバンクは先月、南海と近鉄のユニフォームをオリックスと着て戦った「KANSAI CLASSIC 2017」の期間中、球団Twitterが「南海ホークス」に変わる粋な演出を見せた。
また、阪神では球団公式とは別に試合速報アカウントを作成。試合経過を関西弁で伝えるという、阪神ならではの特色を出している。
ほかにも、練習中や試合後のロッカールームなど、ファンが立ち入ることのできない場所の写真を投稿する球団も多い。
ロッテは春季キャンプ中、球団広報が宿舎の選手の部屋を直撃。バットを抱いて眠るキャプテン・鈴木大地の姿や、部屋で天ぷらの本を読む石川歩の姿などを発信した。
写真に特化したSNSであるInstagram。SNSの中では後発だが、若者を中心に支持されている。球団公式のInstagramを見ると、パ・リーグは全6球団がアカウントを作成(ただし、西武は球団公式パフォーマンスチーム「ブルーレジェンズ」のアカウント)。セ・リーグは巨人のみとなっている。
投稿される写真は試合中のプレー写真や笑顔の写真がメイン。しかし、楽天はホームゲームで勝利した試合後、ヒーローの選手とファンが一緒に写った写真を掲載。その写真は3枚続きとなっており、写真一覧で見るとパノラマ写真のような構図になっている。
また、楽天は球団オフィシャルカメラマンがビジターにも帯同しているため、ビジターの写真が豊富なのも他球団にはない強みだ。
これまでSNSに関しては他球団に引き離されていた巨人だったが、昨年からTwitter、Facebook、Instagramともに球団公式SNSを相次いで開設。本拠地・東京ドームではイニング間にSNS投稿を呼びかけるなど、SNS強化に力を注いでいる。
Facebookでは春季キャンプ中にドローンを使った空撮映像、最近では3軍の試合を生中継するなど、球団の本気度を感じてしまう。今後の展開も大いに注目だ。
そして、現在の流れに逆行するかのごとく、12球団で唯一SNSを開設していないのが広島。これまで「カープ女子」や昨季のリーグ優勝と注目度は高かっただけに、意外に思われるかもしれない。
このまま独自路線を進むのか、それとも今後SNS導入に踏み切るのか……。カープ坊や、マツダスタジアム、オリジナルTシャツ販売など話題を呼ぶ取り組みは多いだけに、SNSを使った情報発信が期待される。
文=武山智史(たけやま・さとし)