今季のメジャーリーグでは、ベンチから1172回のチャレンジがコールされた。結果は589回の成功(判定変更)、583回の失敗。ほぼ50パーセントの成功率だ。
リプレーの導入により、本当に微妙な判定にもチャレンジすることができる。成功率50パーセントはやや低く感じるが、試合を左右するシーンでためらわずにリプレー判定を要求した結果ともいえる。
ちなみに成功率が高いのはヤンキース。毎年、メジャー上位の成功率を収めているが、実はヤンキースはリプレー検証専門のスタッフが待機している。
試合を行う両チームのベンチ裏にはモニターがあり、球場に設置されたリプレー判定用の映像が流れている。ヤンキースではそこに専門のスタッフが張りつき、逐一電話で連絡を取っているのだ。
日本では専門のスタッフを雇用する可能性は低いだろうが、その分、コーチには判断力が求められる。視力のいいコーチがいるチームがチャレンジを制するかもしれない。
なお、日本版チャレンジ制度の名称は「リクエスト」に決まった。リプレー検証検討委員会のアナウンスによると「審判とチームが協力しあって、正しい判定を求めていくという意味を込めた」という。
チャレンジとほぼ変わらないシステムで、わざわざ柔らかくすることもないと思うのだが……。
ちなみにメジャーでは本塁打の判定など、主審の権限で審判団がチャレンジを利用することもある。そもそもチャレンジの単語自体にリクエストの意味が含まれており、決して「complain(不平を言う)」ではない。
国際的かつ多くのスポーツで使用される「チャレンジ」でいいのではないだろうか……。
文=落合初春(おちあい・もとはる)