これまでソフトバンクは、大補強を行った翌シーズンは日本一となってきた。
リーグ優勝を果たすもクライマックスシリーズでロッテに敗れ、日本シリーズ出場を逃した2010年のオフ。内川聖一と細川亨をFAで獲得し、オリックスを自由契約になったカブレラも獲得。翌年はリーグ制覇、そして2003年以来の日本一となった。
秋山幸二氏が監督になって初めてBクラス(4位)に終わった2013年オフ。FAで鶴岡慎也と中田賢一、メジャーリーグから岡島秀樹、さらにはサファテ、ウルフ、スタンリッジ、李大浩とNPBで実績のある4人の外国人選手も加入。翌年は2011年以来3年ぶりのリーグ制覇と日本一を達成した。
そう考えると来季のV奪を目指すこのオフは大補強? と考えるのも無理はない。
しかし、今年はソフトバンクが過去にドラフトで指名した陽岱鋼を始め、多くの有力選手がFA宣言をしたにもかかわらず、獲得に名乗りを上げるというような報道が出てこない状況だ。
それどころか細川亨が退団し東北楽天イーグルスへ移籍。森福允彦もFAで移籍濃厚。それなのに新戦力の噂は、川崎宗則が復帰するのかという話以外聞こえてこない。
そもそも2011年オフには、王貞治球団会長もさすがに「やりすぎた感」のある補強を認め「大型補強は今年限り」と発言。目先の大戦力を獲得した2011年以降、ソフトバンクは先を見越したドラフト戦略を展開している。
「打」ではWBSC 23Uワールドカップで4本塁打をかっ飛ばしMVPに輝いた真砂勇介、2015年ウエスタン・リーグの首位打者・上林誠知らが成長。来季のブレイクが期待されている。
「投」ではウエスタン・リーグで最多勝を獲得した笠原大芽や、ドラ1で入団した松本裕樹(2014年指名)、高橋純平(2015年指名)ら未来のエースが控えている。
今季は優勝を逃したとはいえ、シーズン87勝。主力にケガ人が続出した上に、日本ハムの猛追という想定外のことが重なった…、ともいえる。
ケガ人が戦列に戻り、若手の成長が期待される「2017年型ソフトバンク」は、あえてこのオフに大きな戦力補強をする必要はないということか? その結果がわかるのは来シーズンだ。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。北海道生まれなのにホークスファン歴40年。今年は補強なしに同感だが、川崎宗則だけは別腹。アメリカに残るならそれも賛成だが、日本に戻るなら、ぜひホークスのユニフォームを着てほしい。