セ・リーグのCSは雨と台風で波乱の展開になった。なんとか白黒スッキリの決着になったが、仮に阪神や広島が雨天中止による勝敗同数のまま上位チームのレギュレーションで駒を進めていたならば、四半世紀はモヤモヤの残る事件になっていただろう。
その最中で盛んに訴えられていたのはダブルヘッダーの実施だ。CSでは行われない規則になっているが、公平感のためにも将来的には必要になるかもしれない(実際にはチケットや選手枠の問題などもはらんでいるが……)。
そこで注目されたのがメジャーリーグだ。メジャーリーグではシーズン162試合の日程を消化するためにダブルヘッダーや試合開始の長時間延期などが行われている。
その手法はさておき、そもそも「162試合」という膨大な試合数に疑問が浮かばないだろうか。
メジャーリーグはア・リーグ、ナ・リーグにそれぞれ15球団が属し、そして各リーグで東地区、中地区、西地区の3地区に分かれているが、どんな内訳になっているのかは意外と知られていないところだ。
日本はリーグ戦+交流戦と簡潔だが、実はメジャーはやや複雑な組み合わせになっている。2017シーズンの全162試合の振り分けを見てみよう。
今シーズンの全162試合の振り分けは以下の通りだ。
■同リーグ同地区(対4チーム)
計76試合
19試合×4チーム
■同リーグ他地区(対10チーム)
計66試合
6〜7試合×10チーム
■インターリーグ(交流戦)
計20試合
3〜4試合×6チーム
たとえば、今年のヤンキース(ア・リーグ東地区)はインターリーグで、以下の6チームと対戦した。
メッツ(ナ・リーグ東地区)
レッズ(同中地区)
カブス(同中地区)
パイレーツ(同中地区)
カージナルス(同中地区)
ブリュワーズ(同中地区)
組み合わせの不公平感をなくすために他リーグの1地区5チーム+人気カードという組み合わせになっており、今年はア・リーグ東地区×ナ・リーグ中地区、ア・リーグ中地区×ナ・リーグ西地区、ア・リーグ西地区×ナ・リーグ東地区の組み合わせが柱になった。
また、日本のように「交流戦期間」は設けられていない。両リーグ15球団ずつで奇数のため、基本的には余りチーム同士がインターリーグで対戦するシステムになっている。
ちなみにインターリーグは今年で21年目だが、DH制のあるア・リーグが17年勝ち越しており、通算では2890勝2574敗。パ・リーグ優位の日本と同じくDHの有無が勝負を分けている。
シーズンが終わると続いてチャンピオンを決めるポストシーズンに。その組み合わせも見ていこう。まずはワイルドカードゲームからはじまる。
■ワイルドカードゲーム(1戦1勝制)
同リーグで地区2位以下の勝率上位2チームが1戦勝負。勝者がディビジョンシリーズへ進出する。今年は、ア・リーグはヤンキース、ナ・リーグはダイヤモンドバックスが運命の1戦を制して駒を進めた。
■ディビジョンシリーズ(5戦3勝制)
同リーグのワイルドカードゲーム勝者×地区1位中の勝率1位、地区1位中の勝率2位×地区1位中の勝率3位の組み合わせ。勝者がリーグチャンピオンシップに進出する。
■リーグチャンピオンシップ(7戦4勝制)
各リーグの勝者がワールドシリーズに進出。
■ワールドシリーズ(7戦4勝制)
勝者がワールドチャンピオン。
なかなか難しいシステムだが、覚えてしまえば簡単だ。来季は組み合わせにも注目してメジャーリーグを見てはいかがだろうか。
文=落合初春(おちあい・もとはる)