ソフトバンクの松田宣浩が、4月30日のオリックス戦で今季1号となる貴重な同点ホームランを放った。
この日のゲームは、オリックスが2回裏に1点を先制。その後は、オリックスのルーキー・山岡泰輔、ソフトバンクの寺原隼人の両先発が踏ん張って両軍とも得点なしのこう着状態となっていた。
ソフトバンクは、6回まで毎回にように出塁しながらもホームが遠い重苦しい展開が続く。
7回からは、好投の山岡に代わって吉田一将がマウンドに。ここまでの8試合で32人の打者と対戦し、失点はおろか1本のヒットも許していない絶対的なセットアッパー。前日の同カードでも8回に登板し、デスパイネ、中村晃、松田と3者凡退に抑えられていた。
こんな展開を切り開くのは、やはり一発。7回、二死走者なしから松田が外角のフォークを完璧にとらえ、左中間スタンドへ。9回にもデスパイネのソロが飛び出し、ソフトバンクの逆転勝利となった。
今季の初本塁打が4月30日となった松田だが、これまでのシーズン1号は以下の通り。
2006年:4月25日(京セラドーム)
2007年:6月23日(ナゴヤドーム)
2008年:4月8日(熊本・藤崎台県営野球場)
2009年:6月11日(ヤフードーム、現ヤフオク!ドーム)
2010年:3月21日(札幌ドーム)
2011年:4月17日(ヤフードーム、現ヤフオク!ドーム)
2012年:3月30日(ヤフードーム、現ヤフオク!ドーム)
2013年:4月4日(西武ドーム)
2014年:4月5日(Koboスタジアム宮城)
2015年:4月1日(ヤフオク!ドーム)
2016年:4月7日(ヤフオク!ドーム)
2017年:4月30日(京セラドーム)
ルーキーイヤーの2006年でも4月25日、前回のWBCに出場した2013年でも4月4日には第1号を放っている。
2007年はチーム内のメンバー事情もあって1軍昇格が6月に入ってからだった。2009年は開幕戦で故障し戦列復帰したのが6月だった。両年とも第1号が6月となったのも仕方ない。
プロ入りから12年連続で本塁打を放っている松田だが、開幕から1軍で試合に出ていた年のなかでは、今季の4月30日が最も遅かった。
WBC組の多くが開幕から苦しんでいるが、松田も前日までの打率は.208で本塁打ゼロ。心技体ともに「日本仕様」に戻すのに苦労している。だが、この一発が復調のきっかけになる可能性は十分だ。
チームのスローガンは、昨年までの「熱男(2016)」から「1(ワン)ダホー!」へと変わった。
ホームランを放ち、戻ってきたベンチ前でスローガンを絶叫し、ファンを盛り上げるのも松田の重要な仕事のひとつ。松田がどれだけ多く「ワンダホー!」を叫ぶことができるかが、今後のソフトバンクの浮沈のカギを握っているともいえる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)