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埼玉の有望選手、大会展望

7月9日〜27日(埼玉県営大宮公園野球場)

小島の復調期待!楽しみな左腕対決多し
実力者たちの存在が例年の勢力図を崩す


投手編


▲金子大地(春日部共栄)

左腕ビックスリーに注目

 昨年、2年生ながらセンバツV左腕となった小島和哉(浦和学院)。その後、ストレートの球速がアップしたことでかえってバランスを崩し、夏の甲子園では制球を乱し、秋も県大会序盤で敗れた。しかし、一冬を経て復調の気配。手元で伸びる球質と打者の懐へ果敢に攻める投球は健在だ。

 小島と双璧か、それ以上に評価が高まっているのが上條将希(市川越)だ。172センチと上背はないが、全身を使ったダイナミックなフォームから押しまくるストレートは、別格の球威を誇る。

 この2人に昨年から活躍している金子大地(春日部共栄)を加えて「左腕ビッグスリー」とされているが、金子は春の県大会で浦和学院と対戦した際、ストライクとボールがハッキリしていた。サイドに近いスリークオーターからのストレートはスピード感抜群なだけに、夏に再調整した姿を見たい。

 また、この春県4強入りを果たした大宮東では、左腕・中田浩貴が投打の軸として活躍。体全体を投球方向に預ける体重移動と、右肩の開きをギリギリまで抑えて鋭くターンする投球には勢いがある。スイング軌道が大きい打撃も魅力。

 今春、関東大会に出場した聖望学園では、県大会までエースナンバーをつけた大型右腕・野瀬一樹がヒジ痛で登板せず。2年生ながら安定感抜群の右サイド・松本龍尭で勝ち進む間に、中村碧聖が急成長を遂げた。中村はオーソドックスな右オーバースローで、軽く投げているようで手元で伸びる。ストレートとスライダーの見分けもつきにくい、実戦的な投手だ。

 右サイドの橋本拓実(西武文理)は低めを丁寧に突きゴロを打たせるのが持ち味。それを長いイニング続けるスタミナもある。

 狭山ヶ丘の斉藤峻は130キロ台後半のストレートに伸びがあり、技巧派タイプの坂倉直人がメイキングしたゲームを後半受け継ぎ勝ちパターンを作る。現状では「むしろほどよい速さで打ちやすい」タイプだが、素直なフォームだけに今後伸びる可能性は高い。

打者編

▲冨岡弥夏(市川越)

ハイレベルな埼玉で光る好素材

 内野手では、チームの主将で1番を打つ菊池倫徳(聖望学園)が地味ながら地に足の着いたプレーをする。狭山ヶ丘の1番・菅原隼人の軸足にしっかり乗ったスイングも◎。ショートの守備では、狩野拓人(大宮東)のグラブさばきに目が留まる。

 外野手で際立つのは冨岡弥夏(市川越)。185センチの長身で、4番を打つ打撃はポイントが体に近く右方向に長打が出る。全力疾走の走塁も好感が持てる。

 捕手では守屋元気(春日部共栄)と田畑瑛仁(浦和学院)。守屋は送球や守備の精度が高く、プレーに芯の強さを感じる。故障もあって昨秋はベンチに入れなかった田畑はリーダー気質のある選手で、今春から浦和学院の4番・捕手に収まった。プロで活躍した田畑一也(現・巨人コーチ)を父に持つサラブレッドでもある。

 また、この春一番の発見は成田竜真(大宮東)の存在。3年生ながら控え左腕ですべてが粗削りだが、投打とも人を驚かせるパワーを潜在している。西武文理戦の9回土壇場で打った右中間フェンス直撃弾には度肝を抜かれた。

大会展望
今年は実力接近で混戦模様に!


ここ数年、春の大会では波乱があるものの、いざ夏を迎えると浦和学院が優勝候補筆頭となり、そこに花咲徳栄、聖望学園などが絡む例年どおりの図式に収まってしまう埼玉。今年もそれに近い勢力図になりそうな気配だ。ただ、全体的に実力差はかなり切迫しており、左腕エース上條を擁する市川越や、古豪復活に鼻息荒い大宮東、昨秋、浦和学院に延長戦の末勝利した本庄第一なども絡んで混戦模様が予想される。組み合わせ次第では中堅校にもチャンスが出てくるだろう。

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