センバツ出場をかけた昨秋の愛知県大会と東海大会では、いわゆる「私学4強」と呼ばれる愛知の強豪私立・愛工大名電、東邦、享栄、中京大中京をすべてサヨナラ勝ちで破る勝負強さを見せた。
その勝負強さを支えたのが投手陣。背番号1の右腕・新美涼介と背番号10の川口龍一の継投で勝ち抜いてきた。
注目は川口。左のサイドスローという変則ピッチャーで、秋は主に先発として試合をつくった。ストレートのマックスは125キロ前後と特筆すべきスピードはない。しかし、左打者にとっては背中からくる軌道が、右打者にとってはボールの出どころが、それぞれ「打ちにくいさ」につながっている。
2011年夏、至学館は激戦を制し甲子園に出場。このときは惜しくも初戦敗退だったが、話題になったのが「J-P0P校歌」だ。
校歌のタイトルは「夢追人」(ゆめおいびと)。「一番高い山に登って 一番光る星を掴んだ」から始まる歌詞には、校名がまったく出てこない。一説によると、レスリング金メダリスト・伊調馨の姉である伊調千春とその友人の物語がモデルだという。
メロディーラインも流麗で古臭さがなく、ステレオタイプな校歌とは一線を画している。
そこで筆者が一度見てみたいのが「J-POP校歌」の元祖・健大高崎高(群馬)との対戦。こちらは曲の最初に「Be Together」と横文字が出てくるが、チームが全国常連になったことで多くのファンからも認知されている。
現状の至学館は実績でも認知度でも健大高崎に遅れをとっているが、何が起こるかわからないのが高校野球。試合に勝って、満面の笑みで「J-POP校歌」を歌うナインの姿を見たい。
文=加賀一輝(かが・いっき)