開幕以来、持ち味の豪快な本塁打が影を潜め、不振に喘いでいた主砲・筒香嘉智がついに復調。「夏に打つ」筒香の面目躍如とばかり、これまでの不調が嘘のように打球がスタンドに飛び込み始めた。
思えば昨年の7月は打率.429、16本塁打、31打点の大爆発で月間MVPを獲得。筒香自身も「暑い夏は好きな季節」と公言しており、今年も「筒香の夏」がやってきたというわけだ。
直近の5試合では打率.316、3本塁打、出塁率.435の結果を残している。とりわけ、あの弾丸ライナーの本塁打が帰ってきたことが、何より復調の証といっていい。
現役時代のひょうきんなキャラと裏腹に、監督就任以降はデータと明確な意図に基づいた独特の采配で知将のイメージを定着させつつあるラミレス監督。
今シーズンは投手を8番に据え、9番に倉本寿彦を起用するオーダーをゴールデンウイークから貫いている。
この策が一定の効果を上げているかどうかについては様々な見方があるが、目につく弊害を生んでいるというわけでもなく、ラミレス采配のシンボル的な起用法になりつつある。
そして、今度は筒香が復調したとみるや、すぐさま筒香を3番に。今シーズン、絶好調のロペスを4番に据えて、メジャー型の3番を軸とする打線に組み替えてきた。これが功を奏するか楽しみだ。
最後に投手陣を見ていきたい。開幕投手を務めた石田健大や新外国人投手のウィーランドが戦線離脱し、今永昇太が今ひとつ調子に乗れないなか、ローテーションの屋台骨はドラ1ルーキーの濱口遥大が気丈に支えてきた。
しかし、ここへきて石田が1軍のマウンドに復帰し、今永も復調。井納翔一を含めて、本来、勝ち星を計算すべき投手たちでローテーションが回り始めてきたことが、今の好調を後押しする要因の一つになっている。
ここにウィーランドが復帰となれば、さらに勝ち星を計算できる。そうすれば勝率5割超えの状態で安定した戦いを進められるはずだ。
(成績は7月3日現在)
文=元井靖行(もとい・やすゆき)