東大がまた金星を挙げた。9月19日に神宮球場で行われた、東京六大学野球リーグ第2週第1日の試合で、東大が法大を5-2で下した。
東大は今秋のリーグ戦初勝利。さらに今春の最終カードで、同じ法大に6ー2で勝利した以来の連敗は、わずか4でストップさせた。
立役者は、背番号1を背負う宮台康平(湘南高)だ。6回を投げて法大打線から6三振を奪い、自責点2で抑え、待望のリーグ戦初勝利をマーク。打っては2打点を記録するなど、投打にわたる活躍をみせた。
さらにリリーフ登板した柴田叡宙(洛星高)は、3回を投げきり、打者10人に対して被安打1と好投。見事、東大野球部に勝利をもたらした。
今回はそんな宮台や柴田のように、過去に東大野球部で活躍した「赤門エース」を紹介しよう。
今から約30年前の1981年、春季リーグ戦だけで5勝をマークしたのが大山雄司だ。小早川毅彦(元広島ほか)、西田真二(元広島)、木戸克彦(元阪神)らを擁する法大と、開幕戦で対戦した東大。法大圧倒的有利の予想に反して、大山が好投をみせて6-2で勝利。
「今季の東大はひと味違う」という戦いぶりで、続く早大戦では大山が1-0で、さらに2回戦は左腕・国友充範が2-0と、連続完封勝利を記録。また、慶大戦でも大山が力投を見せて連勝。早大と慶大の両校から揃って勝ち点をマークする快挙を演じた。当時の東大野球部の躍進は、「赤門旋風」と呼ばれ、今でも語り草になっている。
1990年代は、2人の好投手が東大野球部を牽引した。1992年から95年まで在籍した、サイドスローの高橋崇展は通算7勝をマーク。高橋と入れ替わる形で、1996年から99年に活躍したのは、東大出身として4人目のプロ野球選手となった遠藤良平だ。遠藤は、1990年代の東大野球部史上最多勝となる8勝を記録。1年秋から活躍し、6シーズン連続で勝ち星を挙げた。卒業後は日本ハムにドラフト7位で入団している。
2000年代初頭には、通算3勝を挙げてプロ入りしたエース・松家卓弘がいた。そのうちの1勝は、4年秋に明大から奪った37年ぶりの完封勝利。その後、横浜(現DeNA)からドラフト9巡目で指名されて入団。残念ながらプロではパッとした成績を残すことはできなかった。
また2001年には、女子野球選手として話題となった竹本恵が登場。4月14日の慶大戦では、東京六大学リーグで日本人女性選手として初登板を果たしている。
そしてもうひとり、東大野球部で印象に残る投手といえば、鈴木翔太を推したい。2010年の秋、甲子園経験者が並ぶ早大打線を相手に4-2で完投勝利を記録。1年生だった鈴木は、あの斎藤佑樹(当時4年生・現日本ハム)に投げ勝ったと話題になった。
もちろん2年生以降も期待を寄せられたが、鈴木は3年秋に肩を手術して、4年時はリーグ戦で登板することができなかった。現在はJR東日本野球部に在籍している。
今秋のリーグ戦は始まったばかり。宮台や柴田を擁する、この秋の東大野球の投手陣に注目したい。
文=野球太郎編集部