2015年は投打が噛み合い、14年ぶりにセ・リーグ覇者となったヤクルト。ところが、そこから一転、昨季は5位に沈んだ。
その要因のひとつは、2015年の3.31から4.73へとチーム防御率が下落したように投壊状態となったこと。それに加えて、主力野手にケガが相次いだことも悪影響を及ぼした。特に2015年の打撃部門のタイトルを獲得した川端慎吾と畠山和洋の戦線離脱のダメージは大きかった。
2015年は首位打者&最多安打の「二冠」に輝いた川端。しかし、昨季は7月18日のDeNA戦で自打球を右足に当てるアクシデントに見舞われた。診断の結果は「右足舟状骨骨折」という重傷で登録抹消。結局、1軍に復帰したのは9月6日。約1カ月半にも及ぶ長期離脱となってしまった。
最終的に規定打席はクリアし、打率も.302(リーグ8位)とどうにか格好はつけたが、やはりペナントレースの勝負どころとも言える8月が全休となってしまったのはチームとしては痛かった。
このオフは、例年通り松山での自主トレを順調にこなしており、もうケガの影響はなさそうだ。
昨年12月には、2014年6月に入籍していた今日香夫人との挙式と披露宴を行い、気持ちも新たにしているに違いない。川端の「伝統芸」ともいえる超人的なバットコントロールを、ファンも今季も楽しみにしている。
そして、ケガに泣いたもうひとりは2015年の打点王・畠山和洋。
昨季は、開幕前のぎっくり腰に始まり、左有鉤骨の骨挫傷、右アキレス腱痛と故障のオンパレード。6月13日に2度目の登録抹消となって以降、ついに復帰はかなわず。
出場試合数は、レギュラー格になって以降、最低の45試合のとどまり、打点も前年の105打点から45打点に、本塁打に至っては26本から1本へ激減してしまった。
ただ、このまま終わるわけにはいかない。今年の9月には35歳と、もうベテランの域に達している畠山だが、年明けから戸田球場で行われているチームの新人選手合同自主トレに混じって汗を流すなど、精力的に動いている。
2年連続トリプルスリー達成の山田哲人という絶対的な軸がいるヤクルト打線。その前後を担う川端、畠山がしっかりと機能すれば、坂口智隆、雄平、バレンティンと役者は揃っているだけに他球団にとっては脅威となる。
神宮球場にDeNAを迎える3月31日の開幕戦には、ベストオーダーで臨むことを期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)