いよいよ開幕したサッカー・ワールドカップブラジル大会。世間がサッカーとブラジルの話題で染まる今だからこそ、あえて「野球とブラジル」のことも押さえておきたい。
サッカーの国、ブラジル。しかし、野球においても近年、強豪国入りを目指した取り組みが続いている。国際野球連盟(IBAF)が算出する「IBAFランキング」によれば、ブラジルの最新順位は世界15位。わずか2年前、2012年には30番以降の順位だったことを考えると、急激なジャンプアップといえる。
これはひとえに2013World Baseball Classic(以下WBC)の本戦に出場できたことが大きい。初参加だったブラジルは予選から出場し、パナマを下して、見事本戦への出場切符を獲得。本大会のグループリーグでは日本とも対戦し、日本が終盤8回にかろうじて逆転した試合を憶えている方も多いだろう。
ブラジル代表の躍進には、日本球界の影響も大きい。金伏ウーゴ、松元ユウイチ(ともにヤクルト)をはじめ、日本の社会人野球で活躍する日系ブラジル人がチームの主力を務めていた。
2002年の夏に日章学園高(宮崎)がエースに片山文男、中軸打者に瀬間仲ノルベルトというブラジルで育った2人を擁して甲子園に初出場。その後、2人同時にドラフトで指名された。
2003年の夏には甲子園初出場の羽黒高(山形)でカルデーラ・チアゴが投手としてに出場を果たす。カルデーラ・チアゴは昨年のWBCでブラジル代表の投手コーチを務め、現在はヤクルト野球アカデミーで後進の指導にあたっている。
2008年の夏の甲子園に初出場した本庄第一高(埼玉)。甲子園1回戦で劇的なサヨナラ本塁打を放った奥田ペドロもヤクルト野球アカデミーの出身。奥田は昨年のWBC・日本戦でスタメン出場も果たした。
他にも、WBCで代表選手を務めたメンバーには同アカデミー出身者が多い。そして、そのWBCをキッカケにして野球というスポーツの認知が広まり、プレーする子どもの数が増加するという好循環も生まれている。
野球でも一流国への仲間入りを目指すブラジル。その道程は険しくとも、一歩一歩前進中だ。
(2014年6月19日/スポニチアネックス配信)