セ・リーグは2連覇を目指す広島、パ・リーグは昨シーズン5位の楽天が4月を首位で通過(広島は5月6日に首位陥落)。広島を中心に回るセ・リーグは順当だが、パ・リーグは昨シーズン5位の楽天が首位、最下位のオリックスが2位と波乱含みの展開となっている。
果たして広島と楽天はこの勢いのまま優勝できるのか。4月の首位チームが優勝する確率を見ていこう。
過去10年を振り返るとセ・リーグは2007年、2009年、2013年の巨人のみ。パ・リーグは2008年の西武、2012年の日本ハムのみ。4月首位チームの優勝回数は5回、優勝確率は25%と意外に低い数字が出た。
また、両リーグの4月首位チームが同時に優勝したことはここ10年で皆無。広島、楽天のどちらか一方は優勝できないことになる。
2013年の楽天は、4月は借金3の5位。7月に首位を奪取し、そのまま逃げ切った。昨シーズンの広島も貯金4の2位で、5月中盤から一気に抜け出した。
昨シーズンの日本ハムも4月は借金2の3位。7月からソフトバンクを猛追し、逆転優勝を遂げた。
圧倒的な独走で優勝を決めるよりも、ドラマチックな逆転優勝の方が盛り上がる。4月に快走したチームの優勝確率が低いのは、野球の神様の配剤なのだろうか。
昨シーズンの日本ハムは二刀流・大谷翔平が大車輪の活躍。また、増井浩俊の先発転向が当たり、レアード、中田翔らの主砲が決めるべきところで決める活躍を見せ、10年ぶりの日本一に輝いた。
しかし、今シーズンは開幕から波に乗れず6連敗、10連敗と2度の大型連敗を喫している。日本ハムにとって10連敗は12年ぶりの屈辱だが、このデータが日本ハムの優勝は絶望的と示している。
長いプロ野球の歴史のなかで、10連敗以上を喫して優勝したチームはないのだ。優勝チームにおける最大連敗数は1992年のヤクルトの9連敗(1分を含む)。日本ハムは10連敗を喫した22試合目にして早くも優勝確率が0%となってしまった。
なお、優勝チームにおける最大の借金は2007年の日本ハムが記録した「8」となっている。
借金、連敗から導き出される優勝確率は0%だが、昨シーズンの大逆転劇があるだけに、まだ諦めるのは時期尚早。10連敗後はチーム状況も上向き5連勝を記録した。
とにかく待たれるのは大谷の復帰。そして、大谷が再び大車輪の活躍でチームを2連覇に導き、オフシーズンにメジャーリーグ移籍。そんなドラマのような結末となるのだろうか。
4月のデータからは離れるが、優勝を占うにあたってDeNAのラミレス監督にも触れておきたい。
昨シーズンは勝率5割に届かなかったものの球団史上初のCS進出。2年目となる今シーズンはさらに上を目指すべく、ペナントレースを粘り強く戦っている。
そのラミレス監督には優勝へ向けての吉兆のデータがある。2000年以降、外国人監督の2年目は、前年よりも順位が落ちたことはないのだ。外国人監督が2年目も指揮を執るには、前年よりも上向きの気配を漂わせていることが必須条件なのかもしれない。
このデータに照らし合わせると、今シーズンのDeNAの3位以上は確定。2年連続でのCS進出となるが、果たして?
■2000年以降の外国人監督の1年目/2年目の成績
トレイ・ヒルマン(日本ハム監督)
2003年:5位
2004年:3位
ボビー・バレンタイン(ロッテ監督)
2004年:4位
2005年:1位
マーティ・ブラウン(広島監督)
2006年:5位
2007年:5位
テリー・コリンズ(オリックス監督)
2007年:6位
2008年:5位(※2位)
(※コリンズ監督の2008年の成績はシーズン途中での辞任時の成績。カッコ内はオリックスのシーズン最終成績)
4月に好調だからと言って必ずしも優勝できるわけではないのがプロ野球の面白いところ。
今シーズンはどんなドラマを見られるのだろうか。残り5カ月間、ペナントレースを楽しみたい。
文=勝田 聡(かつたさとし)