5月26日からはいよいよ、セ・パ交流戦がスタート。2005年から始まり、今年で11年目を迎える交流戦は、昨季までの24試合から、今季は18試合と、6試合少なくなる。そして、交流戦期間で勝利数が多いリーグに、今秋のドラフト会議でのウエーバー優先権が与えられたり、賞金をわけあったり、セ・リーグvs.パ・リーグというリーグ間での対決が色濃くなった。
2005年、2010年と日本一に輝き、今年も“ゴールデンイヤー”として期待されていたロッテだが、ここまでは波に乗れていない。しかし、2005、2006年と連覇するなど、交流戦の相性はよく、これまで、ファンの心を熱くするような試合、プレーをみせている印象が強い。交流戦開幕に先立ち、そのロッテの交流戦名場面を振り返ってみよう。
2005年の日本一で浸透した、ハマれば止まらないロッテの「マリンガン打線」。その究極的な破壊力を見せたのが2009年6月11日、千葉マリンスタジアム(現QVCマリンフィールド)で行われた広島戦の6回裏だ。まずは、福浦和也がヒットで出塁すると、1死後に井口資仁のセンター前ヒット、続く橋本将がライト前へのタイムリーヒットを放ち、まず1点。そこから、ヒットと四死球の連続で、次々と得点を重ねていく。
結果、この回の攻撃は打線が二回り(大松尚逸がNPB史上初となる1イニング3打席に立つ)する打者20人、12安打、4四死球で、1イニング15点のNPB記録を更新した。ほかにも10打数連続安打、14者連続得点など、記録ずくめの攻撃となった。試合は23−2でロッテが圧勝。さらにロッテは2010年5月22日のヤクルト戦でも20得点を奪っている。
現在、ロッテの選手会長を務める岡田幸文。外野守備の名手としてプロ野球ファンに広く知られているが、そのきっかけとなったのは2011年の交流戦だった。
6月15日、東京ドームで行われた巨人戦に1番・中堅手でスタメン出場した岡田に次々と打球が飛んでくる。2回裏、阿部慎之助の放った右中間フェンスを直撃するような打球を、俊足を飛ばして追いつき、ジャンピングキャッチ! フェンスに激突しながらも決してボールは離さなかった。5回裏には坂本勇人が放った左中間への打球をグラブの先で捕球するランニングキャッチ!! さらに8回裏、さすがにこれは抜けるだろう、という小笠原道大の右中間への打球に対して、岡田はセンターの定位置から猛然とダッシュし、見事なダイビングキャッチを魅せた。この立て続けのファインプレーにロッテファンのみならず、ライトスタンドの巨人ファンも拍手で称えた。
前年の日本シリーズ第7戦で、日本一を決める決勝打を放って知名度が上がった岡田。今度は、自身の得意分野である華麗な守備を、注目が集まる巨人戦で披露したことによって、「岡田の外野守備はスゴい!」というイメージを多くの野球ファンに焼き付けた。この年の岡田は、シーズン全試合出場を果たし、パ・リーグ記録にあと2に迫る351刺殺を記録し、ゴールデングラブ賞を受賞した。
試合数が減ったことで、違うリーグの選手との対戦に、より意気込む選手が増えるかもしれない。普段、交わることのない対戦による化学反応で、どんなサプライズ、ビッグプレーが起こるか楽しみだ。希少価値が高くなった交流戦を、ロッテファンはもちろん、それぞれの球団のファンも見逃してはならない。