今季より新たに選手会長に就任したT-岡田。就任しての発言からは、自らがチームを引っ張っていく、という自覚がうかがえた。実際、キャンプでも若い選手によく声をかけているようだ。
そんなT-岡田が今季の目標として掲げているのが、キャリアハイ。2010年に33本塁打でホームラン王に輝いたが、今季はその記録を上回る活躍に期待したい。
長距離打者にしては器用で、その器用さが長打力を消してしまっているとも指摘される。狙った球を一発でとらえることができると、キャリアハイ更新が見えてくるはずだ。
昨季はルーキーながら2ケタ本塁打を記録した吉田正尚。シーズン後に参加した2016アジアウインターリーグでは打ちに打ちまくって最優秀打者に輝いた。今季は2年目にして早くも中心打者としての風格さえ漂わせている。
持ち前の強いスイングと背中合わせなのは故障。実際に昨季は腰を痛めて戦列を離れることとなってしまった。このオフは、アテネ五輪の男子ハンマー投げの金メダリスト・室伏広治氏にトレーニング方法を指導してもらうなど、ケガをしない体作りに余念がない。吉田正が全試合に出場できれば、相当な成績が見込めそうだ。
4番候補としてマリナーズから獲得したロメロ。マイナーでは通算100本塁打を放ち、昨季はAAAで21本塁打と長打力が魅力の選手だ。キャンプでのフリー打撃では柵越えを連発し、首脳陣の評価も高い。オリックスには左打者が多いので、右の大砲は貴重だ。
毎年のようにレギュラーへの期待が高いが、あと一歩で奪取できない駿太。昨季は守備固めでの起用が多かった。守備、走塁面では申し分ない実力を持っており、課題は打撃だ。宮崎キャンプでの紅白戦では二塁打を2本放ち、打撃面での成長をアピールしている。
レギュラー争いに割って入る若手の台頭も見逃せない。武田健吾は昨年のWBSC U-23ワールドカップに出場し、ベストナインに選ばれた。打撃のよさをアピールしたい。
小田裕也は代走や守備固めでの起用が多かった。打撃での成長が求められる。杉本裕太郎は恵まれた体を生かした長打力をアピールできるかがカギ。吉田雄人は昨季、遊撃の練習もしたが1軍での出場はなし。キャンプ途中で1軍に呼ばれたので、ここでチャンスをつかむことができるか。
彼らの上の世代に目を向けてみると、今年30歳を迎える小島脩平は内野手登録ながら外野もこなす。持ち味の俊足を生かしてアピールできるか。宮崎祐樹はムードメーカーとしてチームの貢献度が高い。32歳の川端崇義は外野手登録選手で最年長となった。しぶとい打撃はチームに欠かせない。
今のところT-岡田と吉田正は当確であろう。ただしT-岡田の場合は左翼と一塁の両方を守れるので、どちらで起用されるか流動的だ。
この2名に続くのがロメロだろうか。ロメロは右翼と一塁で試されている。ロメロが右翼に入るとすると、吉田が左翼にまわり、T-岡田が一塁という布陣になる。ロメロが一塁なら、T-岡田が左翼、吉田が右翼か。いずれにしても長打力では、糸井の穴を埋められるだろう。
残る中堅を駿太、小田、武田らで争っている。この争いが熾烈で、これからの練習試合やオープン戦で誰が結果を出すのか注目だ。この中堅がガッチリと固定されれば、昨シーズンのようなことはないと信じたい。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。