【2015夏の高校野球】《西東京観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド
7月4日〜26日(神宮球場ほか)
勝俣、田村ら二刀流が沸かす西東京の夏
実力校の扇の要に強打の捕手がひしめく
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●投打二刀流に注目
今年の西東京大会のキーワードは二刀流である。その代表が勝俣翔貴(東海大菅生)だ。打者としての評価が高いが、投手としてもかなりの素材。最速142キロで、落ちるスライダーは威力がある。度胸もいいが、制球に課題がある。
田村孝之介(日大三)は、ストレートが最速147キロを記録する本格派右腕。ただ力み過ぎが多く、「やっぱり、野手なのかな」と小倉全由監督を悩ませる。
昨夏1年生ながら好投した谷井怜央(創価)は腕の振りがよく、球に伸びがある。打っては4番で、守備がいいため三塁手もこなす。
帝京を4安打1失点に抑えるなど、春季都大会準優勝に貢献した小玉和樹(佼成学園)は、小柄ながら140キロを超えるストレートにチェンジアップなどを交えた緩急自在の投球が光る。もともと内野手で、打撃もいい。
投手らしい、しなやかさのある栗田海人(八王子実践)は、136キロのストレートを主体に、キレの鋭いフォーク、カーブ、スライダーなどを投げ分ける。
しなやかさでは、精神的にも成長した細身の左腕・横森拓也(八王子)を挙げておきたい。
早大学院には、秋に二松学舎大付と延長15回の熱戦を演じた嵯峨悠希と、2年生の柴田迅がいる。嵯峨はストレートが140キロを超えるが、春以降調子を崩しているため、今夏は伸びのあるストレートとタテ横のスライダーを投げる柴田が中心となりそうだ。
都立校では、169センチながら平井成幸(総合工科)のストレートが140キロを超える。粗さはあるが昨年より安定してきた。矢ケ崎光(片倉)、長谷川壮平(千歳丘)も力のある球を投げる。
▲勝俣翔貴(東海大菅生)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●強打者の捕手に注目
デビュー3戦目で本塁打を放った怪物1年生・清宮幸太郎(早稲田実)に関心が集中した今年の西東京。それでも、打者としての実績ではやはり勝俣翔貴(東海大菅生)が抜き出ている。昨年の秋、東京都選抜の一員として出場した日本大との試合では、大学生から軽々と場外弾を放つなど、秋以降、打球の飛距離が伸びている。
捕手に強打者が目立つことも今年の特徴だ。小藤翼(日大三)は、春季都大会で5本の本塁打を放った。「当てるだけでなく、しっかり振るようになった」と小倉監督。守りでは、オコエ瑠偉(関東一)の盗塁を刺すなど、肩も強い。
清宮とともに早稲田実の中軸を打つ加藤雅樹も、春は3本の本塁打を放ち、高校通算本塁打も40本を超える大型捕手だ。
にわかに注目を集めたのは菅野岳史(聖パウロ学園)。今春から3番に抜擢されると、サイクル安打に本塁打3本と大暴れ。2年生捕手だけに今後の成長が待たれる。
了海航(國學院久我山)は粗さこそあるものの、秋季都大会で東海大菅生の勝俣から唯一の本塁打を放つなど、長打力のある捕手だ。
一方、野手にも好素材は少なくない。中尾将(国士舘)はずんぐりとした体型のわりに足が速く、長打力もある。内外野をこなす器用な選手だ。中学時代から勝俣のチームメートだった江藤勇治(東海大菅生)は、4番ながら足が速く、走攻守三拍子揃っている。
▲小藤翼(日大三)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●日大三と東海大菅生が一歩リード
センバツ出場の東海大菅生と、秋は初戦コールド負けながら春は圧倒的な打力で都大会を制した日大三が一歩リード。エースの小玉和樹が主将としてチームを引っ張り、春季都大会で準優勝した佼成学園と、怪物・清宮幸太郎の入学で全国的に注目される早稲田実が追う展開。ただし早稲田実は、投手陣の出来がカギを握る。投打のバランスがいい八王子、国士舘、好投手のいる早大学院、創価、打線に破壊力がある聖パウロ学園、元祖都立の星・東大和も、勢いに乗ると怖い。
地区勢力ピラミッド
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