気になる厄年選手。投手陣から見ていくと、まずは千賀滉大と武田翔太(ともにソフトバンク)の名が目についた。
千賀は2010年の育成ドラフト4位ながら、150キロを超えるストレートと落差の大きい通称「お化けフォーク」を武器に這い上がってきた雑草系。2013年に中継ぎとしてブレイクすると、昨季は先発として12勝(3敗)を挙げ、侍ジャパンのメンバーにまで上り詰めた。
武田は千賀とは対象的に、2011年のドラフトで高校生ながら1位指名され、将来を嘱望されてプロ入り。ルーキーイヤーの8勝を皮切りに、ここ2年間は連続で2ケタ勝利を挙げるなど、5年間のプロ生活で42勝と順調に鷹のエースへの道を歩んでいる。
2人の実力からすれば、厄年うんぬんは関係なく今季も活躍するだろう。不吉な厄年が杞憂に終わるはずだ。
しかし、ひとつ気になることがある……。今年、3月に開幕するWBCのことだ。
2人ともWBCで中心となるべき選手だが、2013年のWBCでは、当時、厄年選手だった中田翔(日本ハム)が6試合に出場しながら0本塁打、2打点に終わった。そんな不吉な事例もあるので、念には念を入れて厄除け・厄落としを心がけ、世界一奪還に貢献してほしい。
野手で気になる厄年選手は、高山俊(阪神)と吉田正尚(オリックス)の2015年・大卒ドラ1コンビだ。
高山は、東京六大学リーグ通算安打記録更新という経歴をひっさげてのプロ入り。昨季はルーキーながら134試合に出場し、136安打を積み上げた。阪神の新人シーズン通算安打記録も達成。「安打製造機」の看板に偽りはなかった。
1年目に大活躍したことで、今季は少しでも成績が落ちると「2年目のジンクス」と言われてしまう。しかし、奇妙なムードはドラフト(※)で全部出しきったことにして、厄年を乗り切ってもらいたい。
(※ドラフト会議で阪神とヤクルトが高山を競合指名。くじ引きの際に真中監督がハズレくじを当たりくじと勘違いする、「交渉権見間違い騒動」を起こし、笑いを誘った)
高山の大活躍の陰に隠れてしまった感があるが、吉田も打率.290、10本塁打と新人としては十分合格点の好成績をマーク。
スポーツ新聞などでは、シーズン終盤に怒涛の量産を見せた本塁打を話題にすることが多かったが、開幕戦からスタメンに名を連ね、「開幕6試合連続安打」を放つなど、早くから光るものを見せていた。
しかし、4月後半に故障したため、3カ月に渡ってプレーできず。スポーツに「たられば」は禁物とわかっていても、「もしも故障がなかったら、どれほどの成績を残したのだろうか」という「if」を唱えたくなる。
それだけに厄年といっても、憑き物は前厄にあたる昨季の故障で落としきっていると信じたい。治療期間の忘れ物を取り返すべく、今季はさらなる上積みを期待したい。
数え年25歳の厄には「前厄」「本厄」「後厄」とあるが、今回は本厄の4選手を紹介した。
厄も占いと一緒で、普段は気にしなくても何か起こったときに「やっぱり厄年だから……」と弱気になってくるものだと思う。
しかし大抵の災いは、起きてしまってから対策を講じても手遅れだ。日本には「備えあれば憂いなし」「後悔先に立たず」ということわざもある。厄年とわかっている以上、今季はこれまで以上に強い覇気を持って臨んでほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)