「泥沼」とは、このチームのためにあるような言葉なのか。それぐらい今シーズンのオリックス・バファローズが厳しい状況となっている。
昨シーズンは、ゲーム差なし、勝率2厘差の2位。そこからオフに大型補強を断行したこともあって、今季の順位予想では、ほとんどの評論家が優勝、もしくは2位に挙げていた。ところが、開幕から6カードを終えた4月19日の時点でなんと5勝14敗1分。4位のロッテ、5位の楽天が勝率5割となっており、リーグ内の借金を一手に引き受けていることになる。
(成績は4月19日終了時)
これだけのチーム状態だから、原因はいくつも考えられるが、やはり昨年の投打の軸を欠いていることが一番ではないだろうか。
投の軸というと、もちろん金子千尋。昨年は26試合に登板し16勝5敗で防御率1.98。1人で貯金11を稼いでいた。それが今年は、ヒジの手術の影響もあって、いまだに2軍でも本格的な投球は再開できていないという。
「親亀こけたらみなこけた」ではないが、その投打の軸不在の余波か、投手陣ではセットアッパーの佐藤達也が腰痛、比嘉幹貴が肩の違和感、岸田護が脇腹痛、クローザーの平野佳寿が足首の捻挫と、故障者が続出。ケガはしていないものの西勇輝が3試合登板で0勝2敗、馬原孝浩も救援失敗の連続で防御率は12.27まで落ちているように、昨季、チーム防御率が唯一の2点台で12球団トップだった主力メンバーがこぞっていなくなってしまった。
打者陣も、ペーニャの代役として期待されたブランコが開幕早々に膝痛を発症しリタイア。ヘルマンも太ももの肉離れで戦線離脱。故障ではないが、新戦力として期待された中島裕之が打率.205、小谷野栄一が打率.191と軒並み低打率にあえいでいる。T−岡田はさらに低く打率.154でついに2軍降格となった。昨年の首位打者・糸井嘉男もやや上向いてきて、やっと打率.230に達したばかり。生え抜きで、未来の中心選手候補の安達了一と駿太も2割に満たない打率に苦しんでいる。
唯一、目立っているのが、昨年のBCリーグの三冠王で、今春のキャンプでテストを受けて4年ぶりにチームに復帰したカラバイヨだ。4月9日に1軍登録されると、いきなり本塁打を放ち、4月11日からは4番に座っている。4月19日の試合では、3連勝に貢献し、復帰してから初のヒーローインタビューに呼ばれた。ここまで9試合の出場で打率.355、2本塁打、10打点、とまさに孤軍奮闘の活躍。
ただ、ここがどん底と考えればあとは上がるだけ。一人気を吐くカラバイヨに触発され、チームの状態は上がりつつあり、これからは故障者も徐々に戻ってくるだろうし、国内外からの緊急補強も検討中だという。たしかにゲーム差はあるが、まだまだシーズンは始まったばかり、これからの巻き返しに期待したい。