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代打サヨナラホームラン2本! 大松尚逸(ヤクルト)の大ケガ、戦力外通告でも諦めない野球人生

代打サヨナラホームラン2本! 大松尚逸(ヤクルト)の大ケガ、戦力外通告でも諦めない野球人生

 7月26日、歴史的な大逆転劇はまだ記憶に新しいだろう。ヤクルトが中日相手に0対10からの勝利。10点差からの逆転勝ちは史上4度目で、セ・リーグでは1951年の松竹以来66年ぶり2度目の快挙だった。

 その逆転劇を決めたのが、延長10回、代打として登場した大松尚逸だった。中日のリリーフ・伊藤準規の投じた147キロのストレートを振り抜くと、白球はヤクルトファンの待つライトスタンドへ飛び込んだ。

ロッテの主力だった時期も


 2008から2010年にかけては毎シーズン130試合以上に出場し、ロッテの主力として活躍していた大松。2008年には24本塁打を記録するなどパンチ力も秘めた外野手として君臨していたが、2010年以降は成績の下降とともに出場機会も減少。それに追い打ちをかけるように、2016年の5月には2軍の試合中にアキレス腱断裂の大ケガ。その年のオフには戦力外通告を受ける。

 30代半ばという年齢と、コーチ就任を打診されていることからも、「ドライな処遇」と言いきれるものではなかった。しかし大松は、現役続行にこだわり、ヤクルトのテストを受けて入団を果たした。

 今季の大松の記録は以下の通り。

73試合:打率.178/3本塁打/13打点
(8月23日現在)

 トータルの成績は今ひとつだが、前述した10点差逆転弾だけでなく、5月9日の広島戦でも延長12回裏に代打サヨナラホームラン。ホームラン3本のうち、2本が代打サヨナラと、ここ一番の勝負強さを見せている。

 5月9日の試合では2人目、7月26日の試合では、5人目の代打として起用されているが、延長まで「代打・大松」という勝負手を残していること自体、ヤクルト首脳陣の大松への期待の証だろう。

FA取得も行使せず


 8月11日には選手登録日数が9年に達し、海外FA権の資格を得た。しかし、受け入れてくれたヤクルトへのさらなる貢献を誓い、行使するつもりがないことも明かしている。

 現在、チームは最下位に低迷し、真中監督は今季限りでの退任を表明。取り巻く状況は厳しいが、残り試合も崖っぷちから蘇った「代打・大松」が決勝打をかっ飛ばすシーンに期待したい。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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