伝統の一戦!
昔から、読売ジャイアンツと阪神タイガースの試合はこう言われてきた。この言葉、今の若い人たちが聞いても、しっくりとこないかもしれない。伝統の名の元に、あぐらをかく時代は終わったのではないだろうか。
まずは球団が変わらなければならない。このオフ、両球団は決意を固めて新しい監督を迎えた。
阪神タイガース 金本知憲監督 背番号6
読売ジャイアンツ 高橋由伸監督 背番号24
タイプの違う2人ではあるものの、2人ともかつてはチームを優勝に導いた功労者。チーム再建を託された両新監督は、ホームランを量産するよりも難しい重責を背負うことになった。
11月に入って、両チームとも秋季キャンプに突入。時期を同じくして来シーズンの組閣が出来上がり、若く未経験な監督を支えるために、名参謀が入閣した。
金本新監督を支えるのは、高代延博ヘッドコーチ。金本が広島時代に走塁技術を叩き込まれた、守備走塁のスペシャリストだ。
同じように高橋新監督を支えるのは、内田順三打撃コーチ。高橋が現役時代、打撃に関して、徹底的に教えを請うた人物だ。
両監督が最も信頼する名参謀の元で、エネルギッシュに手腕を発揮できる環境は整った。
阪神はキャンプ初日からチームプレーを重視し、走塁練習も交えて実戦に近い形をテーマとしている。
打撃と言えば、阪神は「強く振る」ことが今キャンプの打撃方針。インコースの球は、ポイントを前に置いて強く叩く。これは大和クラスの打者にも徹底している。
巨人は「センターから反対方向に」というのが基本方針。ポイントを後ろに置き、変化球にも柔軟に対応できるようにと、多彩な変化球を投げるバーチャルピッチングマシンを導入したと聞く。
この打撃方針から、現役時代、金本が強引に引っ張り、高橋は広角に打ち分けたことを思い起こす。
果たして、2人のイズムは浸透するのか?そして、結果を出すのはどちらか。
新監督のもと、充実の秋季キャンプを過ごした巨人と阪神。来シーズン、生まれ変わった両チームは見逃せないはずだ。
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。