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「男気」や「キューバ危機」も!プロ野球流行語大賞2015【上半期編】を勝手に選定!!

 師走の風物詩、「新語・流行語大賞」が今年も12月1日に発表された。今年の年間大賞が「トリプルスリー」だったように、実はこの「新語・流行語大賞」と野球界は、昔から非常に結びつきが強い。

 特に90年代には「イチロー」(1994年)、「NOMO」「がんばろうKOBE」(1995年)、「メークドラマ」(1996年)、「ハマの大魔人」(1998年)、「リベンジ」「雑草魂」(1999年)と、毎年のように野球界から流行語大賞が生まれていた。

 では、2015年はどんな言葉が球界やファンの間で飛び交ったのか? そこで、今年の「プロ野球流行語」を勝手に10個選定。本稿ではその中から、上半期に注目を集めた5つのワードをピックアップし、今季のプロ野球を振り返ってみたい。


男気(男気契約)


 1年前の年の瀬、急転直下で決定した黒田博樹の広島復帰。20億ともいわれるメジャー契約を蹴り、4億円で古巣に戻った黒田の生き様は、「男気契約」として話題になった。


 以降、各メデイアは何かにつけてこの「男気」を連呼。「まだまだあった球界男気事情」なる記事が散見し、「男気」をテーマにした書籍やムック本も発売された(ちなみに『週刊野球太郎』でも、ヤクルトの球団マスコット・つば九郎の契約スタイルを「男気契約」として紹介している)。

 先日、日本ハムの中田翔が「後輩の杉谷拳士が来季レギュラーを獲得したらフェラーリを贈る」と宣言。「中田翔、男気フェラーリ」としてスポーツ紙に見出しが躍った。年間を通して球界を盛り上げた言葉だったのは間違いない。


キューバ危機


 今年、野球界にとどまらず、世界的に注目を集めたのがアメリカとキューバの国交正常化交渉だ。1962年に起きた「キューバ危機」から半世紀超。世界は確実に動いていることを実感させた。

 一方、このことが日本に別な「キューバ危機」をもたらすことに。2013年にキューバ政府が「野球選手の国外プロ契約解禁」を決めて以降、日本球界で増加したキューバ出身選手が、一気にアメリカ球界に流出してしまうのでは!?  と騒がれたのだ。

 実際、DeNAの「キューバの至宝」ことユリエスキ・グリエルは約束の期日になっても来日せず、最終的には契約解除となった。

 また、キューバの「国民的英雄」といわれる巨人のセペダは、球団助っ人外国人史上初となる「シーズン打率.000」という驚異的な数字を記録。同じくキューバ出身のアンダーソンも打率.252、7本塁打。巨人ファンにとっては別な意味での「キューバ危機」に悩まされたシーズンだった。


守乱シスコ


 巨人の助っ人受難はまだ続く。今季開幕後に加入したドミニカ共和国出身のフランシスコだ。長打力を買われての途中入団だったが、とにかくバットに当たらない! 打席に立ってもほぼ三振の毎日で、打率.167、0本塁打、1打点。バットは湿りっ放しだった。

 打てないだけでなく、チームの足を引っ張ったのが度重なる守備でのミス。マルチヒットならぬ「マルチエラー(1試合複数エラー)」が続出し、各スポーツ紙で「守乱シスコ」と書かれる始末。原辰徳監督も「プロとして非常に恥ずかしい」とこぼし、チーム加入1カ月後には2軍が指定席となった。

 成績が悪いことに加え、練習拒否など、素行にも問題が目立ったフランシスコ。巨人は来季の契約を見送り、退団が決定した。


美人妻


 とにかく打てなかった今年の巨人助っ人陣。ただ、投手陣ではマイコラス、マシソン、ポレダの3投手が頼もしい働きをみせた。特に圧巻だったのがマイコラス。13勝(3敗)、防御率1.92は、ともにタイトルには一歩届かなかったものの、素晴らしい成績だった。

 ただ、このマイコラス以上に「素晴らしい!」と絶賛されたのが、マイコラス夫人のローレン・マイコラスさん。マイコラスが来日初勝利をあげた5月28日の翌日、マイコラス以上の大きな扱いで、スタンドで応援する夫人の写真が掲載され、「美人妻」として話題になったのだ。

 すると、これに対抗するようにソフトバンクの新助っ人、バンデンハークのアナ夫人も「美人妻」として取りあげられ、ある週刊誌はローレン夫人とアナ夫人の「美人妻対談」を企画したほど。

 結局、この対談はアナ夫人側が断ったが、ローレン夫人はその後、芸能界入り。先日、ついにCMデビューも果たしてしまった。一部では、契約期間を2年6億円で延長した、とも報じられるマイコラス。日本に長くいたい理由は、夫人の芸能活動も影響している!?


セ界恐慌(セ界の終わり)


 2015年6月23日、プロ野球は歴史的な日を迎えた。前日まで貯金1でセ・リーグ首位に立っていた巨人がDeNAに敗れ、「リーグ全チーム貯金ゼロ」という珍事が生まれてしまったからだ。

 さらに7月3日には前日まで勝率5割だったヤクルトと阪神がそれぞれ敗れ、遂に全球団が「借金」を抱えることになった。

 本来ならあり得ない現象が現実となったのは、今季交流戦で、セ・リーグがパ・リーグに対して44勝61敗3分けと大きく負け越したから。今にして思えば、日本シリーズでのソフトバンク圧勝も、この時点でもう既定路線だったのかもしれない。

 この異例の「借金生活」に、スポーツ紙だけでなく、朝日新聞など一般紙まで「セ界恐慌」と報じる始末。同時期に起きたギリシャの財政破綻のニュースと相まって大きな話題となった。また、ネットでは「セ界の終わり」の文字も踊った。

 ちなみに、球界随一のベストセラー作家、野村克也元監督が今月上梓した新刊のタイトルも『セ界恐慌』。さすがはノムさん、流行ものを押さえる嗅覚は健在である。


文=オグマナオト(おぐま・なおと)

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