【2016夏の高校野球】《岩手観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
7月8日〜21日(岩手県営野球場ほか)
三強は変わらずも公立校にスター出現
好投手たちが春の大会で芽を出した!
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●公立の好投手が夏を盛り上げる
接戦が続き、例年以上の盛り上がりを見せた春季岩手県大会。その立役者となったのは、県内各地に散らばる公立校の好投手たちだ。
その筆頭に挙げられるのは、千葉英太(千厩)だろう。背番号11の2年生は主戦格としてマウンドに立ち、最速138キロのストレートとカットボールで三振を奪いまくる。春季一関地区予選では、県大会優勝校・一関学院を破る立役者となった。まだ2年生ということもあり、伸びしろはたっぷり残っている。
ストレートの速さならそれ以上の迫力を見せるのが佐々木大和(盛岡商)。最速140キロを越える本格派で、スライダーも冴える。奪三振ショーで観客席のどよめきを誘った。またセンバツ出場校のエース・岩間大(釜石)も注目したい好投手。疲労の蓄積もあり、春季大会では一度も投げることなく終わったが、あくまでも見据えているのは夏の大会。全国舞台でも力を見せているだけに万全な状態で戻ってくることを期待したい。この他にも右スリークオーターの2年生・柾切澤和弥(伊保内)、快速サイドの前野雄介(花巻南)など実力派の名前が次々浮かぶ。強豪私立も舐めてかかると痛い目に合いそうだ。
一方、上位常連の私立は分厚い戦力で迎え撃つ。出てくる投手陣のクオリティーの高さはやはりさすが。2年連続県大会優勝を果たした一関学院で名前が挙がるのは、左腕の大竹樹希哉。投球フォームは往年の工藤公康(元西武ほか)を思わせる。巧みな緩急を使いこなし、相手打者を翻弄した。
盛岡大付は井上涼平、坪田伸祐、平賀東吾の速球派3枚を揃え万全の体制。花巻東の191センチ右腕・千葉耕太は最速144キロを誇る。打者としても注目を集めており先輩・大谷翔平と同じ“二刀流”としてプロスカウトの熱視線を浴びている。
▲千葉英太(千厩)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●熊谷を追う2年生コンビ
期待のスラッガーとして思い浮かぶのは、熊谷星南(花巻東)、小林亮介(一関学院)の2人。熊谷は高校通算本塁打が30本を越えた。集大成の夏に向けて、さらに量産体制に入りそうな勢いを見せている。長打だけでなく、スキのない走塁、二塁守備にも優れ、プロからも注目を集める逸材だ。一方の小林は長い手足が際立ち、その立ち姿はメジャーの内野手のよう。徹底マークされながらも、結果を出している。
塩谷洋樹(盛岡大付)も長打力では負けていない。強力打線が売りの盛岡大付の4番に座り、迫力のある打撃を見せる。プレーの華やかさでは熊谷、小林に分があるが、打撃そのものはまったく遜色ない。また、この塩谷の前後を固めるのが、植田拓と比嘉賢伸の2年生スラッガーコンビ。強力なインパクトを残したのは植田。2年生ながらすでに通算20本塁打を超える逸材。長打だけでなく、確実性も備えている。165センチと小柄だが、大げさではなく、「右の森友哉(西武)」を思わせる。盛岡大付の主将であり、打線では2番を任される石橋泰成も注目の好打者。バント、エンドランなどの小技はもちろん、長打も望める。ひと振りで相手を仕留める“必殺仕事人”だ。
▲熊谷星南(花巻東)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●私立勢にしのびよる公立勢力
今年の春季県大会では1点差試合が続出。公立、私立問わず、岩手県高校野球の全体的レベレアップが進んでいることを印象付けた。その中で安定した力を見せたのは、一関学院、花巻東、盛岡大付の“上位常連校”。大会の軸は、この3校になるだろう。一方で公立勢の躍進ぶりも目立つ。一関工打線は強豪私立にも遜色ない迫力を見せ、投手力向上がカギになりそう。春に久しぶりのベスト8入りを果たした千厩も、投打のバランスが取れた好チームで要注目。
地区勢力ピラミッド
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