このチームの苦境を救うのは「鷲のお助け三人衆」をおいてほかにない。2012年ドラフト1位の森雄大、2013年3位の濱矢廣大、ドラフト9位のルーキー・高梨雄平。1992年、1993年、1994年世代の若鷲サウスポーたちだ。下記のとおり、いずれもオープン戦で好結果を残し、開幕1軍は濃厚だ。
■森雄大
3試合(13回1/3):1勝1敗/防御率2.70
■濱矢廣大
6試合(5回2/3):0勝0敗/防御率1.59
■高梨雄平
7試合(6回1/3):1勝0敗/防御率1.42
新球・カットボールをひっさげ、大型左腕の卵・森が「覚醒前夜」を予感させる投球を見せた。昨季は鎖骨付近の神経障害にも悩まされ1軍登板なし。しかし昨オフ、武者修行先のメキシコのウインターリーグで復活。3試合16回を投げて防御率2.81、被打率.111と好成績を残した。
そしてこの春、効果的な球の曲がりをスライダーからカットボールにマイナーチューニング。これがばっちりハマった。オープン戦での奪三振は投球回を上まわる14個。この数は岸と並んでチーム最多だ。
また、かつてはフライアウトが多かったが、ゴロアウトを取る投球に修正。オープン戦のゴロ率は70.6%と、ゴロを打たせることに成功している。今年はローテの一角に食い込み、2014年以来の勝利を目指したい。
偉大なる先輩・岩隈久志(マリナーズ)の助言を得て一皮むけてきたのが濱矢だ。高いポテンシャルを持ちながらも1軍通算防御率7.66。ここまで伸び悩んでいた。しかし、年始恒例の岩隈久志との合同自主トレで投球フォームに関する助言をもらうと、その才能が開花し始めた。
この春の対外試合では12回2/3を投げて無失点。オープン戦では打者24人と対戦してヒット5本にとどめ、しかも長打は1本も許していない。球威のあるストレートを生かすことのできるピッチングに、ようやくたどり着いた。
(※対外試合=他球団との練習試合+オープン戦)
左の技巧派サイドスロー、ルーキーの高梨の奮闘に首脳陣は目尻を下げている。対外試合で左打者25人と対戦した成績は22打数4安打(いずれも単打)、奪三振8、与四球3、被打率.182と抜群。
昨季、左のセットアッパーとして活躍した金刃憲人が、今季は左脇腹痛よる調整不足。今年33歳になるベテラン左腕はこれまで2年連続で安定した成績を残した実績がなく、その意味でも濱矢と高梨にかかる期待は大きい。
「鷲のお助け左腕三人衆」がそろって1軍で躍動すれば、楽天の苦境は解消されるはずだ。彼らの救世主的な活躍を大いに期待したい!
文=柴川友次
信州在住の楽天推しの野球好き。イーグルスに関するありとあらゆるデータの収集を標榜するデータマン&野球ブロガー。2,000人以上にフォローされているTwitterアカウントは@eagleshibakawa。