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則本昂大が引っ張る楽天の3本柱は優勝ローテ? 先発ローテーションとチーム順位の関係。パ・リーグ編

則本昂大が引っ張る楽天の3本柱は優勝ローテ? 先発ローテーションとチーム順位の関係。パ・リーグ編

「野球は投手から」とは昔から伝わる野球界の格言の一つだ。今シーズン、各チームの先発ローテーションの出来・不出来はチーム成績にどう影響しているのだろうか。

 交流戦までのデータを元に、先発ローテーションと順位との関連性を、リリーフ陣にも目配せしながら探ってみたい。まずはパ・リーグ編。

楽天:2009年を彷彿とさせる三本柱


 序盤から首位をキープしている楽天の開幕投手は美馬学だった。

 WBC帰りの則本昂大は開幕戦を回避。当初、梨田昌孝監督はFAで加入した岸孝之を開幕投手に指名していた。しかし、開幕直前に岸がインフルエンザを発症。そこで美馬がマウンドに送られたのだ。

 美馬は開幕戦こそ白星がつかなかったが、ローテーションを守り、交流戦までに5勝1敗、防御率2.04とエース級の働きを見せている。また、則本(6勝)、岸(4勝)のダブルエースも結果を出し、三本柱を形成。2009年の田中将大(現・ヤンキース)、岩隈久志(現・マリナーズ)、永井怜(元楽天)の三本柱を彷彿とさせる働きぶりだ。

 リリーフ陣に目を向けると、クローザーの松井裕樹(17セーブ)、ハーマン(16ホールド)、森原康平(13ホールド)、福山博之(11ホールド)も結果を残している。福山は防御率0.00と交流戦前は無失点投球を続けていた。やはり、先発、中継ぎの好調さが首位に立っている大きな要因だろう。

ソフトバンク:圧倒的な層の厚さ


 千賀滉大、武田翔太、バンデンハークの3人がWBCに出場したため、開幕投手はベテランの和田毅に託された。和田は開幕戦から2連勝と最多勝投手の貫禄を見せたものの、左ヒジの故障で離脱。武田も開幕から2試合で故障により2軍降格となった。

 そこで交流戦前はバンデンハーク、千賀、東浜巨、中田賢一、攝津正がメインでローテーションを回し、谷間を大隣憲司、寺原隼人が埋めてきた。

 そのなかで、千賀が6連勝をマークし6勝。バンデンハークも4連勝での4勝と結果を残した。また、エース2人に負けじと東浜も5連勝で5勝を挙げた。和田、武田といったエースが2人抜けても、ほかの投手の活躍で上位をキープ。「エース」と表現できてしまう投手が複数いる、これが選手層の厚さだろう。

 リリーフ陣もサファテ(15セーブ)、岩嵜翔(10ホールド)、森唯斗(8ホールド)と勝利の方程式を形成。楽天同様に先発、リリーフ陣が結果を残し、好順位につけている。


西武:エース・菊池とウルフの2枚看板&侍セットアッパー・牧田!


 楽天に移籍した岸に代わって、押し上げられるように西武のエースとなったのが菊池雄星だ。辻発彦新監督からの信頼も厚く、新年早々に開幕投手へと指名された。開幕戦の白星を皮切りに5勝をマーク。交流戦直前の防御率は1.23とエースの働きを十二分に見せている。

 菊池に続く先発ローテの柱になっているのがウルフ。開幕から安定した投球を見せ交流戦までに5勝1敗。菊池とともにチームを支えている。

 菊池、ウルフのほかに開幕ローテーションに入ったのは多和田真三郎、野上亮磨、高橋光成だった。しかし、多和田、高橋光は結果を残すことはできず、ローテーションの組み直しを余儀なくされた。

 そこで抜擢されたのが十亀剣、佐野泰雄の2人。手薄な先発投手陣のなかで、2人はまずまずの結果を出し、ローテーション形成に一役買っている。

 救援陣に目を向けると、牧田和久(11ホールド)、シュリッター(11ホールド)、増田達至(8セーブ)と7回以降の3人は盤石。先発投手陣の層の薄さが、そのまま上位チームとの差になったといえる。

 多和田、高橋光の復調が夏場以降に上位争いをできるかどうかの鍵となりそうだ。


オリックス:3本柱に掛かっている


 昨シーズン、最下位に沈んだオリックス。今シーズンも開幕3連敗を喫し、暗雲が立ちこめた。しかし、金子千尋(5連勝)、西勇輝(2連勝)、ディクソン(4連勝)の3投手が負けなしで連勝をマークするとチームは上昇。4月は首位争いを演じた。

 しかし、5月半ばに西が離脱。新人の山岡泰輔、松葉貴大もローテーションを守ったものの、だんだんと台所が立ちゆかなくなる。同時に主砲のロメロがケガにより登録抹消されると、チームは5月17日から9連敗。4月の貯金は消滅し、Bクラスに転落する。

 どうにか先発ローテーションは保ったともいえるが、不調の打線をカバーするには至らず、順位の転落につながった。事実、西、ロメロが戦列に戻ると、再び白星を重ね、上位浮上のきっかけをつかんだ。

 救援陣の吉田一将、黒木優太、平野佳寿らはパ・リーグでも屈指。先発陣の安定度が増せば、再び上位争いに食い込む可能性は十分。選手層が厚くないため、投打の軸となる選手の故障が最大の敵となりそうだ。


日本ハム:大谷の不在、有原の不調


 大谷翔平を開幕から欠き、大谷に代わるローテーションの柱として期待された有原航平が開幕4連敗。昨シーズン、新人王に輝いた高梨裕稔、メンドーサらがともにローテーションを守ったが、4月は先発投手が試合を作ることができずに敗戦するケースが目立った。

 有原は5月に入り3連勝と盛り返したものの交流戦を前にして登録抹消。日本ハムはシーズン序盤に2人の柱を失うことになった。

 一方、故障から復帰した浦野博司の好投したのは、先発陣の危機を救う明るい兆しだった。とはいえ、大谷が戻り、有原が本調子となるまでは苦しい台所事情が続きそうだ。

 昨シーズンの日本一を支えた中継ぎ陣も宮西尚生、マーティンが絶対的な存在とはいえず、打ち込まれるケースが増えた。先発投手陣の踏ん張りがなく、中継ぎにしわ寄せがいった結果、投手陣全体が悪循環に陥っているようだ。


ロッテ:柱が崩壊した先発投手陣


 石川歩が開幕から絶不調。交流戦前まで4戦4敗とチームが低迷する一つの要因となってしまった。また、エースの涌井秀章もわずか1勝と二本柱が機能せず、先発に転向した西野勇士もゴールデンウイークに登録抹消。ドラフト1位の佐々木千隼は初登板こそ白星で飾ったものの、以降は苦しい投球が続いている。

 そのなかで唯一気を吐いているのが二木康太だ。4月半ばに初登板を果たすと3連勝。調子の上がらない石川、涌井を尻目に結果を残している。

 新外国人野手の不発を始めとした貧打線もチーム低迷の原因だが、先発ローテーションの崩壊もチーム低迷の一端だろう。


 上位争いをしているチームは先発、中継ぎとバランスが整っており、投手陣の大崩れを防いでいる。夏場に向けて安定した戦いを行えるのはどのチームだろうか。

 昨シーズンは日本ハムが奇跡の大逆転優勝を果たしただけに、優勝争いがもつれる可能性はある。まだまだペナントから目が離せない。

(成績は5月28日現在、交流戦直前までのもの)


文=勝田聡(かつたさとし)

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