1月も半ばに入り、選手たちは来たるべきシーズンに備え、思い思いの場所で自主トレを行っている。昨年のドラフトで指名されたルーキーたちも新人合同自主トレと称して「プロ野球」を肌で感じ始めているはずだ。
そんなプロ野球の開幕まであと2カ月ほど。今年は東京オリンピックの影響で例年よりも1週間早く開幕を迎えるわけだが、見どころはどこにあるのだろうか。いくつかのポイントに分けてピックアップしていきたい。
プロ野球界に吹く新しい風。ルーキー、そして新外国人選手は注目の的となる。とくに奥川恭伸(星稜高→ヤクルト1位)、佐々木朗希(大船渡高→ロッテ1位)の2人はキャンプ前のこの時期から多くのメディアが取り上げており、シーズンが始まってからもしばらくはフィーバーが続きそうだ。
とはいえ、2人とも高卒のルーキー。チームを率いるのは、高津臣吾監督(ヤクルト)と井口資仁監督(ロッテ)とともにMLB経験者。これまでのコメントを見る限り、1年目からバリバリと1軍で起用することはないだろう。プロ仕様の体を作りながら、2軍で慣らしていくのが既定路線だ。
神宮球場やZOZOマリンスタジアムではなく、戸田球場や浦和球場で未来のエース候補が登板することになる。一昨年の清宮幸太郎(日本ハム)や昨年の根尾昂(中日)のように2軍戦が見どころのひとつとなりそうだ。
もちろん森下暢仁(明治大→広島1位)や河野竜生(JFE西日本→日本ハム1位)といった即戦力候補たちは1軍での登板が見どころとなる。いや、ならないとチーム的にも困ってしまう……。
新外国人選手ではなんといってもアダム・ジョーンズ(オリックス)だろう。MLB通算282本塁打、1939安打と実績は十分。昨年も137試合に出場し打率.260(485打数126安打)、16本塁打、67打点と全盛期の成績には及ばないものの、メジャーでレギュラークラスの力を見せた超大物だ。2013年に楽天へやってきたアンドリュー・ジョーンズが、チームを日本一に導いたような展開もありえない話ではない。それには田中将大(現ヤンキース)のようなスーパーエースが必要かもしれないが……。
その他にもジャスティン・ボーア(阪神)、ヘラルド・パーラ(巨人)、マット・ムーア(ソフトバンク)などいつになくMLBで実績を残した選手が日本へとやってくる。メジャーリーガーたちのプレーは大きな見どころとなるはずだ。
このオフシーズンに秋山翔吾(西武→レッズ)、筒香嘉智(DeNA→レイズ)、山口俊(巨人→ブルージェイズ)と3人の選手が海を渡った。その活躍を期待したいところだが、国内ではこのオフに将来的なMLB挑戦を公言した選手たちのプレーも気になるポイントだ。
千賀滉大(ソフトバンク)が、毎年のように球団とポスティングについて話し合いを継続しているが、新たに野手では西川遥輝(日本ハム)、投手では山崎康晃(DeNA)、有原航平(日本ハム)、石川歩(ロッテ)らが自らの口でMLBへの思いを口にした。
いずれも海外FA権を取得するまでには時間を要するため、早期の移籍を目指すのであれば球団がポスティングシステムを利用する必要がある。それぞれのチームで主力を担っているだけに球団側も「はいそうですか」というわけにはいかない。それ相応の成績を残し、チームを優勝に導くことが求められるだろう。
ましてや成績が伴わないとなればMLB移籍など言っていられる場合ではない。それは本人たちが一番よくわかっている。誰にも文句を言わせない圧倒的な数字を残すことで道が拓けるのだ。西川らがどのような成績を残すのかは大きな見どころだろう。
冒頭で触れたとおり、今年は東京オリンピックが開催される。その代表入りを目指す選手たちのプレーは見どころとなる。東京オリンピックで「侍」と名乗ることができる選手はわずか「24」名。昨年11月に行われたプレミア12のメンバーが中心となるが、不在だった菅野智之(巨人)や千賀といったタイトルをいくつも獲得してきた実力者、そして新たに代表を狙う新星たちもその座を争う。
稲葉篤紀監督に認められるためにも、開幕から全力でアピールするはずだ。このオフシーズンにも稲葉監督は「目標を持つことは大事」とコメントしており、若い選手が東京オリンピックの代表入りを目指すことに対して好意的だ。
プレミア12における周東佑京(ソフトバンク)のような存在が現れるかもしれない。チームだけでなく、「侍」を目指す選手たちの開幕ダッシュにも注目だ。
文=勝田聡(かつた・さとし)