各地域の代表29校と21世紀枠の3校、合わせて32校が集うセンバツ。天の差配か甲子園の魔物のイタズラか、1回戦から「いきなり激突!?」という組み合わせも多かった。
それぞれの勝ち上がりはトーナメント表を見ていただくとして、ピックアップしたい対戦は「日大三対履正社」と「早稲田実対明徳義塾」。
秋の東京都大会決勝で、清宮幸太郎(早稲田実)を5三振とキリキリ舞いさせた櫻井周斗擁する日大三。片や明治神宮大会で初優勝し、3年ぶり2度目のセンバツ制覇に向けて士気が高まる履正社。東西の強豪の激突は履正社有利と見る。
早稲田実と明徳義塾の対戦が決まった瞬間、野球ファンの頭をよぎったのは「松井秀喜の5打席連続敬遠」だろう。1992年夏、明徳義塾の馬淵史郎監督は松井秀喜(星稜)を全打席敬遠と鬼の采配を見せたが、今センバツでは東の怪物・清宮幸太郎に対し、名将がどんな策を講じてくるのか。筆者は早稲田実の勝利と予想するが果たして!?
2回戦でも注目したいのは履正社。次なる相手は、激戦区・東海を勝ち上がって初めての春の切符を手に入れた至学館(愛知)と予想。
「王者VS新鋭」という図式だが、ともに初戦を突破したことでいい雰囲気で臨めることから、好勝負が期待できそう。しかし、ここは新チームの実績の差で履正社に軍配。
もう一方のやぐらでは、「健大高崎対仙台育英」が気になる。仙台育英の4番で正捕手を務める尾崎拓海が、練習中のケガによりセンバツに出場できない可能性が出ているからだ。
健大高崎の伝家の宝刀・機動破壊に対峙するうえで、正捕手不在は痛い。尾崎が間に合わないようだと、健大高崎が圧勝することもあり得る。
ベスト8進出と睨んだのは履正社、盛岡大付、報徳学園、東海大市原望洋、健大高崎、作新学院、神戸国際大付、大阪桐蔭。準決勝4試合で注目したいのは、「報徳学園対東海大市原望洋」と「神戸国際大付対大阪桐蔭」の試合だ。
報徳学園と東海大市原望洋の一戦は、このセンバツを最後に勇退する永田裕治監督に有終の美を飾らせるべく一丸となる報徳学園を、東海大市原望洋のプロ注目の逸材・金久保優斗がどう抑えてるかという一戦。
金久保は、今では珍しくなった“4番・エース”という大黒柱だが、監督を男にすべく挑んでくる報徳ナインの気迫が勝るか。報徳学園が2009年以来の春3勝をつかむ可能性が高いと見た。
神戸国際大付と大阪桐蔭の一戦は、近畿大会の準決勝と同じ組み合わせ。その際は神戸国際大付が兵庫優勝校のプライドを見せて、大阪3位の大阪桐蔭を撃破したが、甲子園に舞台を移しての戦いはまた違ったムードがある。
聖地での再戦は……、神戸国際大付の勝利と予想。2回戦で早稲田実を破り、心身ともに成長を見せる神戸国際大付は、リベンジに燃える大阪桐蔭を振り切り、準決勝進出。
ここからは準決勝と決勝の予想を一気にお送りしよう。
まず準決勝の1試合目、「履正社対報徳学園」。秋の王者を倒すべく次々と襲いかかる強敵を退けて勝ち上がってきた履正社だが、余力を失いつつあるか……。
一方の報徳学園は、“花道パワー”で勝つたびに勢いを増し、意外なほどあっさりと勝利。決勝に駒を進めそうだ。
準決勝2試合目、他のチームに注目が集まるなか、着実に勝ち上がってきた昨夏の甲子園王者・作新学院(栃木)と神戸国際大付の一戦は、試合巧者ぶりを発揮した作新学院の勝利と見る。
昨夏の甲子園でも活躍した鈴木萌斗と添田真聖の1・2番コンビが、今センバツでも再び躍動。夏春連覇に王手をかけた。
センバツ決勝の大一番は東西名門校の決戦に。永田監督への恩返しが原動力となった報徳学園、甲子園連覇に燃える作新学院と、どちらにもドラマがある。この対決は、ランナーこそ出るものの決定打は許さないという緊迫の戦いになりそうだ。
まず均衡を破って先制点を挙げるのは報徳学園。しかし、経験値に勝る作新学院が終盤に上位打線の足を絡めた攻撃で逆転。そのまま逃げ切って優勝。夏春連覇を達成、となるか。
長くなってしまったが、以上が筆者の考える「センバツ2017」のシナリオである。
地方大会の結果、個人スタッツ、話題の選手などを踏まえて、ああでもない、こうでもないと思案したところ、たどり着いたのが作新学院の夏春2季連続甲子園制覇だった。
もちろん履正社や早稲田実など、優勝してもおかしくないチームはほかにもあるのだが、筆者なりにトーナメントならではの妙も取り入れてみた。
各チームのファンの方には「こういう意見もあるんだな」という広い目で見ていただけたら幸いだ。
とはいえ19日から始まる試合結果=答え合わせでは、1回戦の全部とはいかなくとも、半分…、いや3分の1は予想通りになってほしい。ひとまず勝ち上がりをメモしたトーナメント表のプリントを、リビングに貼っておこう。
文=森田真悟(もりた・しんご)