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残留、昇格をかけた熱い戦いはまだ終わっていない! 東都入れ替え戦は“入れ替わらない戦”になったのか!?

 先週の記事では、「再来週に」とお伝えしましたが、1週早まり、東都大学リーグの入れ替え戦・2部3部&3部4部の観戦レポートをお送りします。

●「野球は2死から」の粘りで揺れ動いた試合は……3部4部入れ替え戦

 まず、3部4部入れ替え戦は上智大学(3部最下位)vs一橋大(4部優勝)で行われた。上智大は昨春も最下位に沈み、入れ替え戦に臨んでいる。今春は勝ち点を挙げられず、6連敗でリーグ戦を終えた。

 対する一橋大は過去5年、3部在籍時も含めて4度の入れ替え戦を経験。3チーム編成の4部リーグで勝ち点3を奪い(最大で勝ち点4)、優勝を決めた。

 初回、失策をきっかけに先制点を許した上智大。2点を追う3回、1死一塁から斉藤恵太(2年・越谷北高)が左中間へタイムリー二塁打で1点を返す。さらに四球で1死一、二塁として3番の安藤旭(2年・厚木高)がライト戦へ二塁打を放つと、二塁走者が三塁を回ってストップ。安藤は二塁に到達しており、一塁走者が二三塁間に挟まれてしまった。この挟殺プレーの間に三塁でストップした走者がホームを狙うものの、三本間で刺されて2死。一挙逆転を狙えるチャンスだっただけに、試合の主導権を相手に渡すワンプレーになってもおかしくはなかった。だが、続く田島一輝(3年・東京都市大付高)が左中間へ2点タイムリー二塁打を放ってリードを奪った。

 6季ぶりの3部復帰を目指す一橋大も食い下がる。4回には1死二、三塁の場面でピッチャーゴロ。この打球に三塁走者はスタートを切ってしまいタッチアウト。こちらも反撃の勢いをそぐプレーになりかねなかったが、トップバッターを務める文字力(3年・筑波大付高)が気持ちのこもった内野安打で1点を掴みとって試合を振り出しに戻した。

 どちらにも流れが行っては戻ってくる展開だったが、試合を優位に進める追い風は上智大に吹いた。

 5回表、簡単に2死となるが、そこから3連続四死球で満塁の大チャンス。たまらず一橋大ベンチはタイムをかけて一呼吸を置く。

 ここで打者は平凡なゴロを放ち、無得点で終わってしまうのか……と思われた瞬間、遊撃手がボールをこぼし、慌てて拾い直して二塁へトスするもタイミングはセーフ。ノーヒットと思わぬ形で勝ち越しに成功した。

 攻撃はまだ続く。小澤裕太(3年・川和高)がライト線へ2点タイムリーを放つと、さらに永田敏也(3年・学習院高)は一塁手を強襲するタイムリーでこの回、一挙4点を奪って一橋大を突き放した。

 上智大は8回から先発の菊地宏幾(2年・都駒場高)から板野雄之介(2年・池田高)へスイッチ。2点差にまで迫られるが逃げ切って初戦をものにした。


▲一橋大先発・倉石知輝(2年・世田谷学園高)。9回を投げ切る力投を見せるも敗れてしまった

 翌日は乱打戦となった。

 上智大が初回に9点を挙げる攻撃などで7回を終えて16−2と大量リード。勝負あったと思ったが、一橋大は8回に9点を取り返す猛攻を見せる……ものの、最後は前日に先発した菊地が締めて上智大が3部残留を決めた。

▲初戦に先発し、2戦目は抑えを務めた上智大・菊地


●平成19年から入れ替わらず。果たして今シーズンは? 2部3部入れ替え戦

 近年、2部最下位に沈むことが多い東京農業大。今回で3部との入れ替え戦は3季連続になってしまった。

 一方の芝浦工業大は35年ぶりの3部優勝ということもあり、昇格をかけて争う入れ替え戦に臨むことは久しくなかった。リーグ開幕カードは14失点、8失点を喫して連続完封負けでスタート。それでも最終的には8勝3敗、勝ち点4で優勝を果たした。

 両チームの先発は東農大が小島康明(4年・下妻二高)、芝工大は一ノ瀬泰斗(3年・川越東高)。

▲芝浦工業大先発・一ノ瀬

 東農大は初回、2死から緋田勝人(4年・東京農大二高)が俊足を生かして内野安打で出塁すると、二盗を決める。すると4番の隈本高(3年・筑陽学園高)がセンターへタイムリーを放ち先制。3回には石田陽平(1年・益田翔陽高)の走者を一掃するタイムリー三塁打などで4点を奪って突き放す。投げては小島が4回までランナーを1人しか許さない好投を見せる。

▲3安打2盗塁の活躍を見せた東農大・緋田

 だが5回、小島は2死からストレートの四球を与えてしまう。すると続く渡辺充(4年・西武台高)の打席でヒットエンドランを仕掛けられ、2死一、三塁のピンチを背負う。

 ここ数年の2部3部入れ替え戦は、接戦が繰り広げられた試合が多い。また今年もそうなるのか――と思われたが、ショートフライに打ち取って無失点で切り抜けた。

▲3打数2安打1四球と奮闘した芝工大・石井孝明(3年・芝浦工業大高)

 中盤は互いにランナーを出すも、両投手が踏ん張る展開。だが序盤のリードに加え、8回にも1点を追加した東農大が盤石の戦いで6−0、初戦を取った。

 翌日は中盤まで互いにホームが遠い展開だったが、作田裕二郎(4年・金光大阪高)のホームランなどで徐々に加点していった東農大が連勝。リーグ戦ではシャットアウトゲームはなかったが、この入れ替え戦では小島と平峯裕士(4年・鹿児島南高)が2戦零封と力の差を見せつけて残留を決めた。

▲完封勝利を果たした東農大・小島

 今年の春、東都各部リーグは2季連続、全てが入れ替わることなくシーズンを終えた。


■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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